研究課題/領域番号 |
23500386
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研究機関 | 兵庫医科大学 |
研究代表者 |
八木 秀司 兵庫医科大学, 医学部, 准教授 (10303372)
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研究分担者 |
佐藤 真 福井大学, 医学部, 教授 (10222019)
黒田 一樹 福井大学, 医学部, 助教 (60557966)
駒田 致和 愛知学院大学, 歯学部, 助教 (90523994)
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キーワード | 神経細胞 / 細胞骨格 / アクチン線維 / ミオシン |
研究概要 |
FILIP分子はMyosin2bと結合し、その細胞内分布に影響を与える。Myosin2bとの結合部位を欠損したFILIP変異分子など、様々なFILIP変異分子を用いて細胞内でのMyosin2bの細胞内分布に与える影響を検討したところ、Myosin2bと結合できないFILIP変異分子では、そのMyosin2bの細胞内分布に与える影響は減弱していた。また、FILIPのC端側を欠損する変異分子も、Myosin2bの細胞内分布への影響が減弱することを見いだした。このFILIPのC端側は、FILIPと結合するMyosin2b以外の分子との結合部位であることが判明した。さらに、この結合分子の機能を抑えることでFILIPによるMyosin2bの細胞内分布への影響を低下させることが判明した。以上より、FILIPのMyosin2bへの作用は、他の分子の機能が必要であることがわかった。現在、この分子の機能とFILIPの機能の関係について検討を行っている。また、FILIPが神経細胞の棘突起の形態変化を引き起こす現象は、Myosin2bを過剰発現させることで、FILIPの影響を阻害できることを見いだした。さらに、Myosin2bの阻害剤であるblebbistatinを神経細胞に添加した場合、棘突起の形状はFILIPを過剰発現したときと同様な変化をした。この棘突起の変化は、培養海馬神経細胞を用いてMyosin2bをknockdownしたときにも観察された。以上より、FILIPはMyosin2bとの結合を介して、神経細胞の棘突起に影響を与えると考えられる。また、神経細胞へのFILIPが及ぼす生理学的な影響については、piriformの神経細胞で、興奮性に関わっている可能性を見いだしている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究対象であったFILIPによるMyosin2bの修飾の有無に関して、今まで明らかにすることはできていない。しかしながら、Myosin2bの細胞内分布の機構に関しては、FILIPと結合する他の分子の機能が重要であることを見いだしており、当初の予想とは異なる機構を明らかにしつつある。このほかの実験に関しては、順調に進んでおり、結果を得ることができている。また、現在、FILIPの有無により、神経細胞内での受容体に関して変化を生じているという結果も得ることができており、全体としてはおおむね順調に本研究は進展していると判断している。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は、以下の実験を行い、成果を公表する予定である。①Myosin2bの活性化を制御しているRhoAの機能とFILIPによるMyosin2bの機能調節に関して検討を行う。このために、FILIPが発現している状態で、RhoAの活性型、もしくはドミナントネガティブ体を培養神経細胞に投与し、棘突起で及ぼす影響を検討する。②平成24年度に同定したFILIPと結合し、Myosin2bの細胞内分布を調節する分子の神経細胞への影響を検討する。この分子の特異的な阻害剤をFILIPが発現している神経細胞に作用させ、棘突起の形状に及ぼす影響を検討する。以上、①は主に、研究代表者 八木秀司が、②は、研究代表者 八木秀司と研究分担者、佐藤真と黒田一樹と協力して行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
上記平成25年度の実験及び成果発表を行うにあたり、以下の予定で研究費を使用する。①Myosin2bの活性化を制御しているRhoAの機能とFILIPによるMyosin2bの機能調節に関して検討を行う。このために、FILIPが発現している状態で、RhoAの活性型、もしくはドミナントネガティブ体を培養神経細胞に投与し、棘突起で及ぼす影響を検討する。②平成24年度に同定したFILIPと結合し、Myosin2bの細胞内分布を調節する分子の神経細胞への影響を検討する。この分子の特異的な阻害剤をFILIPが発現している神経細胞に作用させ、棘突起の形状に及ぼす影響を検討する。以上、①は主に、研究代表者 八木秀司が、②は、研究代表者 八木秀司と研究分担者、佐藤真と黒田一樹と協力して行う。この①②の研究遂行に当たり、消耗品、試薬、実験動物を購入する予定である。実験実施に当たり、研究協力者との打ち合わせを行う予定である。また、研究成果の発表に当たり、国内の学会に参加を予定している。また、雑誌への公表を予定しており、その準備及び公表にかかる費用を支出する予定である。
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