研究課題/領域番号 |
23500392
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
武井 義則 京都大学, 薬学研究科(研究院), 助教 (30502455)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | シグナル伝達 / 発生、分化 / 脳、神経 / 神経科学 |
研究概要 |
グルタミン酸は脳内で最も一般的な興奮性神経伝達物質である。一方、GABA (gamma-amino butyric acid)は最も一般的な抑制性神経伝達物質であり、両者のバランスによって多くの脳機能が制御されている。この事から予想できるように正常な脳機能には、グルタミン酸を分泌するグルタミン酸作動性神経細胞とGABAを分泌するGABA作動性神経細胞を適切に配置する事が必須であり、両者の分化制御機構は、脳の発生メカニズムを知る上できわめて重要である。本研究は、その分子的メカニズムを解明し、神経・精神疾患の治療や再生医療へ応用するための基盤を確立する事が目的である。 細胞外ヌクレオチドが、マウス胚性幹細胞から神経細胞への分化の過程で、神経細胞サブタイプ選択を制御する事が本年度の研究から示された。細胞外ヌクレオチドが、幹細胞の神経細胞タイプ選択を行う受容体を同定するとともに、細胞外ヌクレオチドによって活性化される細胞内情報伝達系のどの経路を経て神経細胞タイプ選択が行われているのかを明らかにした。また、細胞外ヌクレオチドによる神経細胞タイプ選択と、ShhやWntなどのこれまでに神経細胞タイプ選択に関与する事が報告されている因子との因果関係を明らかにした。 細胞外ヌクレオチドが発生過程の神経細胞タイプ選択に関与する可能性を検討するために、細胞外マトリクスと細胞外ヌクレオチド濃度との関連を検討した。 以上の結果から、新たな神経細胞サブタイプ選択メカニズムを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の実験計画に従って研究を進め、今年度の目標であった細胞外ヌクレオチドが神経細胞サブタイプ選択に関与する事、そしてその時に使用される情報伝達系を明らかにできた。これらの点を鑑み、予定通の進行であると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
申請時の予定通り、平成23年度に得られた結果を基にしてさらに情報伝達系の検討を進める。 また、神経細胞サブタイプ選択の制御を組織レベルで可能にするために、成体マウス海馬の組織培養を用いた検討を開始する。具体的には、(1)細胞外ヌクレオチドを分解して、(2)23年度に明らかにされたタイプ選択に関与する情報伝達系の阻害剤を添加して、(3)ヌクレオチドを添加して、二週間培養する。神経細胞のタイプを免疫染色で同定して、細胞外ヌクレオチドを介して成体組織内の神経細胞タイプ選択を制御できるか検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度に引き続き、研究費の使用は、本研究に関わる消耗品費が主になる。具体的には、組織培養、細胞培養に関わる消耗品、細胞染色に用いる抗体などである。本年度は、本研究の発表に適切な学会とのスケジュールがあわず、発表できなかったため6万円の繰越金が出た。次年度以降に積極的に研究成果を発表する予定であり、繰越金は、消耗品の購入と旅費として使用する予定である。
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