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2012 年度 実施状況報告書

髄鞘形成および髄鞘再生におけるCYP51の機能的役割の解明

研究課題

研究課題/領域番号 23500404
研究機関徳島文理大学

研究代表者

宋 時栄  徳島文理大学, 大学共同利用機関等の部局等, 教授 (00399693)

研究分担者 中島 健太郎  徳島文理大学, 大学共同利用機関等の部局等, 助手 (20449911)
キーワードLDM / 脂質代謝 / オリゴデンドログリア / cuprizone / 脱髄 / 髄鞘再生 / SNP / 酵素活性
研究概要

1. SNP による LDM 酵素活性の違いの検討
ICR マウスの LDM 遺伝子exon 2 の proline rich regionに、histidine(通常型)からtyrosine(変異型)へアミノ酸の置換を伴うSNP (H63Y) が見出されており、変異型マウスでは cuprizone 含有飼料投与による実験的脱髄が通常型よりも軽微であることから、SNP が LDM 酵素活性に与える影響が示唆された。昨年度はこの点を、脳から抽出したミクロソーム画分に含まれる LDM について検討したが、遺伝子型による酵素活性の違いは検出できなかった。その理由として脳の LDM は量的に少なく、検出感度の点で問題のあることが考えられた。そこで今次年度には通常型、変異型 LDM をHEK293-T細胞に強制発現させ、ミクロソーム画分に十分量のLDMが回収されるような実験系で解析を進めた。その結果、両遺伝子型マウスに由来するミクロソーム画分でも CO 差還元スペクトラム測定で450 nm に吸収極大を持つ活性型 CYP が回収できていた。しかし、ミクロソーム画分にLDMの基質となる lanosterol とP450リダクターゼを添加して in vitro で反応させ、lanosterol の代謝物である follicular fluid meiosis-activating sterol (FF-MAS) の LC-MS/MS による検出を試みたが、ピークが小さく、遺伝子型によるLDM 酵素活性の差があると確定することはできなかった。
2. LDM 高発現とランスジェニックマウスの作成
オリゴデンドログリア特異的に LDM 高発現するランスジェニックマウスを作成するために、適切なプロモーターを選定し、発現ベクターの構築を進めた。実際の作出は、来年度に外部業者に委託する予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

昨年度、 LDM 遺伝子の SNP による酵素活性の差の有無を確定的に検証することができなかった。その最大の理由は、脳に含まれる LDM 量が肝臓に比べて少ないため、測定の検出感度の点で問題があったと考えられた。そこで今年度はこの点を打開すべく、HEK293-T 細胞での強制発現系として用い、そのミクロソーム画分を用いて酵素活性を測定することを最大の目標とした。実験系の構築は順調に進み、ミクロソーム 画分のCO差還元スペクトラム測定で十分な強度の活性型 CYP を確認することができた。しかしながら、ミクロソーム画分を用いて in vitro で LDM による酵素反応を行わせ、LC-MS/MS によって検出したFF-MAS のピークは小さく、通常型、変異型 LDM の酵素活性を直接に比較できるほどの感度を得ることはできなかった。 LC-MS/MS の測定条件を変えるなど、いくつかの試みをしたが結果は同じで、今回の方法による LDM 活性測定では目標を達成することはできないと判断した。かなりの時間をかけて検討したものの、こうした結果になったことは残念であり、達成度は「やや遅れている」と自己評価した。

今後の研究の推進方策

1. 1. SNP による LDM 酵素活性の違いの検討
HEK293-Tのミクロソーム画分には、もともとLDM による代謝反応に必要なP450リダクターゼが少ないため、今回用いた in vitro 酵素反応系には、別に遺伝子導入して回収してきたP450リダクターゼ、もしくは市販のP450リダクターゼを添加している。それにも関わらず、今回 FF-MAS が十分な感度で測定できなかったのは、P450リダクターゼは反応系に添加しただけで、LDMとP450リダクターゼを同時にHEK293-Tに遺伝子導入している訳ではないため、P450リダクターゼが通常型、変異型 LDMと小胞体膜上に共存できずに、電子伝達がうまく行われていなかった可能性が考えられる。また、反応系に cytosol 画分を加えないと、LDMによる代謝反応の効率が落ちるとの報告もあるので、今回の in vitro 反応系では、反応に必要な補酵素などが不足している可能性もある。こうした点を考慮した、in vivo により近い反応系を用いて LDM の酵素活性を測定することを試みる。
2. LDM 高発現とランスジェニックマウスの作成
LDM 高発現とランスジェニックマウスを作出し、cuprizone 投与による実験的脱髄および髄鞘再生過程を対照動物と比較し、LDM 高発現によって髄鞘再生が促進されるかどうかを検討する。

次年度の研究費の使用計画

1. 来年度は最終年度であり、 LDM 高発現とランスジェニックマウスの作成が最大の課題となり、この部分および、その後の動物の維持費用に予算総額の1/3強の支出(約70万円)が見込まれる。
2. 最終年度には海外出張を1件予定している(為替の状況により、25-30万円の支出を想定)
3. 残りは試薬、ガラス器具などの消耗品購入に充当する予定。
4. 大型機器の購入予定はない。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2012

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] Cellular-scale gene expression analyses by laser capture microdissection for the histopathological specimens of the brain fixed with paraformaldehyde and immunostained.2012

    • 著者名/発表者名
      Nakashima K., Koiso N., Kato C., Song S.-Y.
    • 学会等名
      第35回日本分子生物学会年会
    • 発表場所
      福岡
    • 年月日
      20121211-20121214

URL: 

公開日: 2014-07-24  

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