研究課題
シナプスの形成や維持及び可塑的変化の過程で、様々な細胞膜タンパク質が重要な役割を担っている。我々はこの過程に関わる可能性の高い新規の細胞膜タンパク質の探索と機能解析を、モデル生物であるショウジョウバエの幼虫筋肉における神経-筋接合(NMJ)を用いて遂行している。ショウジョウバエ幼虫はふ化後蛹になるまでに50倍ほど成長し、NMJもこれに伴い、成長/増加する。この過程は筋肉の正常な活動を維持するために運動神経と筋肉との間での相互作用によって厳密に制御されていると考えられている。我々は、この相互作用の実行分子として分泌性あるいは細胞表面タンパク質が機能していると考え、これまでに、ショウジョウバエ遺伝子データベースより選択した分泌性及び細胞膜タンパク質をGal4/UASシステムを用いて筋肉で過剰発現し、シナプス形態異常の誘発を指標にスクリーニングを行なった。その結果、複数の候補遺伝子を同定することができた。本研究ではこれらの候補タンパク質のうち、特にTollファミリーに注目して研究を進めた。これまでの解析から、ショウジョウバエに9個あるtollファミリー遺伝子のうちtoll-7がNMJの発達を抑制性に制御する事を示唆する結果を得た。しかし、他のTollファミリー遺伝子やリガンドと考えられているSpzファミリーのRNAiによるノックダウン実験を行なったところ、有意な表現型が認められなかった。そこで、これらの遺伝子を複数同時にノックダウンする実験をおこなったが、現在までのところ、表現型が認められていない。本年度はこれらの実験に加え、グルタミン酸受容体の発現制御と細胞内シグナルとの関連について解析し筋肉におけるFGFシグナリングがグルタミン酸受容体の発現制御に関与していることを見出した。
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Europian Journal of Neuroscience
巻: VOL40 ページ: 3158-3170
10.1111/ejn.12681
http://www.nig.ac.jp/labs/GenNetwk/kairo-hp/home/index.html