αシヌクレイン(αS)は神経変性疾患の鍵分子の一つであり、これまで多くの病理的側面の研究が成されているが、αSの生理機能の詳細は依然不明のままである。 我々は、αSが微小管に結合する事を見出し(1)、in vitro系で、αSが精製したチューブリンの重合を促進し、微小管形成するMAP活性を有する事を証明した(2)。その活性は、変異体A30P、A53Tには無く、WTのみであり、活性部位はNAC領域以下のC末端部位にある事を示した。さらにin vivo細胞培養系で、ドーパミン系株細胞MES23.5にαSを導入すると、細胞増殖活性を示し、その活性は変異体A30P、A53Tには無く、WTのみであり、活性部位はやはりNAC領域以下のC末端部位にある事を示した(3)。従って、この活性は微小管形成促進による事が示唆された。今回、初代培養神経細胞を用いてαSの活性を調べたところ、神経突起延長活性が確認された。その活性はやはりWTのみであり、変異体A30P、A53Tには活性は無く、活性部位はやはりNAC領域以下のC末端部位にある事が判明した。従って、αSの活性は、in vitro系、in vivo系(株細胞系、初代培養系)双方において常に矛盾無く、微小管形成促進するMAP活性として説明可能であった。 (1) Alim et al. (2002) J. Biol. Chem. 277: 2112. (2) Alim et al. (2004) J. Alzheimer’s Dis. 6: 435. (3) Yin et al. (2011) C-terminal part of α-synuclein mediates its activity in promoting proliferation of dopaminergic cells. J. Neural Transm. 118: 1155.
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