研究概要 |
L1-CAMをリン酸化させる因子と神経因性疼痛の関連、リン酸化L1-CAMのシナプスでの役割、L1-CAMのリン酸化と神経可塑性との関与の3つのポイントについての研究を行った。 1. L1-CAMに対するKinaseの探索 : L1-CAMのSer 1181はCasein kinase IIによってリン酸化されるという報告 (Wong et al., 1996 J Neurochem. 66:779-86, Nakata and Kamiguchi 2007 J Neurosci Res. 85:723-34) から、Casein kinase IIの阻害剤である5,6-dichloro-1-β-D-ribofuranosylbenzimidazole (DRB) (Calbiochem)の慢性髄腔内投与を行い、リン酸化L1-CAMの動態を確認し、一定の低下を確認した。 2. L1-CAMの微細形態における局在の検討とシナプスの形態の研究 : Ser 1181のL1-CAMのリン酸化は、Ankyrinとの会合によりシナプスの形成・形態変化をもたらす。脊髄後角におけるリン酸化L1-CAMが発現していると考えられるシナプスの構造を正常ラットと比較するため、末梢神経にトレーサーを投与し、脊髄での終末の形態の変化を確認した。 3. 脊髄後角ニューロンの興奮性とL1-CAMのリン酸化の関連 : 上記阻害剤と疼痛行動への関連は現在ひきつづき検討中である。
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