研究概要 |
数頭のコモンマーモセット(成体)を深麻酔下に4%パラフォルムアルデヒド溶液で径心室的に潅流固定した。固定後、脳定位手術装置によって、脳のマーキングをおこなった。数ヶ所に既知の座標のマーキングを行った後に脳を取り出し、凍害防止のためにグリセリン液に浸漬し、その後、脳の凍結切片を作成した。その際切断面のデジタル写真をすべて作成し、後の標本のための標準断面画像とした。まず、過去のデータとの対比をするために、ニッスル染色、アセチルコリンエステラーゼ染色、カルビンジン免疫染色、ニューロフィラメント免疫染色を行った。その後、興奮性アミノ酸トランスポーター、セロトニントランスポーター、ノルアドレナリントランスポーター、ドーパミントランスポーターのそれぞれについて免疫染色を行った。各シリーズの標本について、データのデジタル化を行った。Carl Zeiss MIRAXSCANという顕微鏡標本デジタル化のための装置により、一切片あたり2-4億画素程度の画像ファイルを得た。得られた画像ファイルは切断面のデジタル写真に基づき外形を修正し、さらにZoomifyファイルに変換の後、現在運用中のデータベースにアップロードした(http://marmoset-brain.org:2008/)。本年度は、本研究計画以前に蓄積されている過去の細胞構築データについての、出版のための編集作業もおこなった。この成果はThe Marmoset Brain in Stereotaxic Coordinates, Paxinos G,Watson C, Petrides M,Rosa M, Tokuno H, Academic Press, Elsevier, 2011 として出版されている。今後のコモンマーモセットを用いた脳神経系の実験的な研究において、永く参考にされていくであろうと期待される。
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