研究課題
ストレス顆粒は、ストレス環境下で、RNAとRNA結合タンパク質によって細胞質に形成され、異常なタンパク質の集積を防ぐ。本研究では、TDP-43プロテイノパチーにおけるストレス顆粒の組織分布、細胞内局在、さらに酸化ストレスの負荷あるいは減弱時のストレス顆粒の動態を調べることにより、TDP-43プロテイノパチーにおけるストレス顆粒の形成機構とその意義を解明することを目的としている。平成24年度に、家族性筋萎縮性側索硬化症(fALS)関連蛋白15種中8種の関連蛋白(FUS、TDP-43、FIG4、Optineurin、VCP、Ubiquilin-2、SIGMAR1、 CHMP2B)は、ストレス顆粒と同様に、ALS以外の神経変性疾患の病理発生機序にも関与している可能性を示唆した。この仮説を検証するために、以下の研究を行った。2症例のユビキチン陰性のエオジン好性封入体の構成蛋白を明らかにするために、細胞骨格、ユビキチン・プロテアソーム系、オートファジー・リソソーム経路ならびにストレス顆粒(SG)に関連する蛋白に対する抗体を用いて免疫染色を施し光顕観察した。症例1の封入体は、SG関連蛋白EIF3、症例2の封入体は、SG関連蛋白HuRに陽性であった。両封入体は、いずれもALP関連蛋白であるVCP陽性であった。SGはALPとVCP蛋白の働きにより除去されることから、この除去過程が、二種のエオジン封入体の形成機序に関与していることが示唆される。以上の研究から、TDP-43プロテイノパチーにおけるストレス顆粒の形成はTDP-43プロテイノパチー特異的な封入体の形成/分解に関与することが支持され、ストレス顆粒の形成を標的とした治療法開発に役立つ可能性を示している。
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