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2012 年度 実施状況報告書

神経変性疾患と顆粒空胞変性との関わりに関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 23500426
研究機関群馬大学

研究代表者

山崎 恒夫  群馬大学, 保健学研究科, 教授 (80200658)

研究分担者 岡本 幸市  群馬大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00124652)
キーワードオートファジー
研究概要

交付申請書に記載した研究計画に従って,神経変性疾患患者(アルツハイマー病,パーキンソン病,多系統萎縮症など)の脳組織切片を用いて,オートファジーに関連する蛋白の免疫組織学的検討を行った。その結果,アルツハイマー病の脳において,選択的オートファジーに関連するとされる蛋白Smurf1の特異的陽性反応が認められた。研究の仮説としては,オートファジーに関連するとされる顆粒空胞変性に陽性反応が認められると推定されたが,実際には顆粒空胞とは異なる細胞質中の構造物に強く染色性が認められた。この陽性構造物を同定するために種々の検討を行った結果,この構造物が加齢脳とアルツハイマー病脳で出現する平野小体であることが判明した。この結果を実験的に証明するために,培養細胞にjasplakinolideを作用させて平野小体を作成させ,Smurf1の染色性を検討したところ,確かにSmurf1が実験的に生成された平野小体にも認められることを確認した。これらの結果は,加齢やアルツハイマー病ではオートファジーに関連する蛋白(Smurf1)の発現が増加していることを示しており,本研究の研究仮説・目的が正しいことをさらに支持する結果が得られた。また従来,平野小体の出現理由は不明であったが,この小体がオートファジーと関連する構造物である可能性をはじめて指摘できた。本研究結果は欧文論文として現在投稿中であり,平成25年7月に米国で開催されるアルツハイマー病関連の国際学会で発表の予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

平成23年度の報告書にも記載したが,平成23年度に所属を移動したことから,研究環境の整備を最初から立ち上げる必要に迫られた。幸い平成24年度には研究用のスペースを得ることができ,顕微鏡などの基本的研究機材も整いつつある。この立ち上げにともなう実験開始の遅れが,現在までの研究の達成度の遅れにつながっている。しかしながら,本研究計画に関連して,投稿中のものを含めてすでに2報の欧文論文を作成することができている。

今後の研究の推進方策

引き続き,神経変性疾患のおけるオートファジー関連蛋白の免疫組織染色を進める。現在新たな蛋白の陽性反応を見いだし,その詳細の検討に入ったところである。一方,進捗の遅れていた生化学的検討にも着手するべく,基礎実験の検討に入ったところである。研究設備の不備を基とする遅れを取り戻すべく,共同研究の輪も充実させていく予定である。

次年度の研究費の使用計画

平成23年度の研究開始年において,たまたま所属の移動があり,研究環境が変化した。このため,研究計画の遂行が遅れ気味となっている。平成24年度においても,当初の計画で使用する予定であった試薬の購入等が遅れて,残額を生じた。次年度はこの残額と平成25年度の助成金を合わせて,1)昨年度購入した顕微鏡カメラの性能を十分発揮するために,年度初めに新規コンピューターの購入を早急に行い,2)抗体の作成,試薬の購入,3)執筆中の論文の英文校正などに研究費を使用したい。また,研究成果を海外で発表するための旅費に使用したい。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2012

すべて 学会発表 (4件)

  • [学会発表] Hirano小体におけるSMURF1の発現について2012

    • 著者名/発表者名
      牧岡幸樹,山崎恆夫,高玉真光,岡本幸市
    • 学会等名
      第31回日本認知症学会学術集会
    • 発表場所
      つくば
    • 年月日
      20121026-20121028
  • [学会発表] Activation and alteration of lysosomes in multiple system atrophy2012

    • 著者名/発表者名
      Makioka K, Yamazaki T, Takatama M, Okamoto K
    • 学会等名
      Alzheimer’s Association International Conference
    • 発表場所
      Vancouver
    • 年月日
      20120714-20120719
  • [学会発表] Alzheimer病の脳幹における顆粒空胞変性の広がり2012

    • 著者名/発表者名
      長嶺 俊, 山崎恒夫, 高玉真光, 岡本幸市
    • 学会等名
      第53回日本臨床神経学会学術大会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      2012-05-24
  • [学会発表] 多系統萎縮症の病理におけるオートファジー・ライソゾーム系の関与2012

    • 著者名/発表者名
      牧岡幸樹, 山崎恒夫, 高玉真光, 岡本幸市
    • 学会等名
      第53回日本神経学会総会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      2012-05-23

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公開日: 2014-07-24  

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