研究課題
X-連鎖ジストニア・パーキンソニズム(XDP; DYT3ジストニア)患者の剖検脳を組織病理学的に解析した。その結果、XDPでは線条体の神経ペプチドY (neuropeptide Y: NPY)システムが破綻していることが判明した (Brain 2013;136:1555-1567)。これは、XDPにおける線条体ストリオゾーム分画の中型有棘細胞の選択的変性脱落およびグルタミン酸神経毒性に起因する進行性線条体神経細胞変性を説明する病理所見である。さらに、NPYがXDP患者の治療薬になり得ることも示唆しており、今後はXDPモデルマウスを作成しNPYの治療効果の検証を行う予定である。また、フィリピン・マニラでのフィールド調査において、XDP患者は高頻度(80%以上)にうつ症状 (depression)を有していることが判明した。これは、線条体コンパートメント構造の機能病理学的観点からXDP患者に存在するストリオゾームの特異的病変に由来するものと考え報告した (Parkinsonism Relat Disord 2013;19:844-846)。ジストニア症状を呈する遺伝子改変モデルの解析では、線条体ストリオゾームのGaolfに関連したドパミンシグナルの機能低下を示す所見が得られており、今後報告予定である。さらに、サイクリン依存性キナーゼ5 (Cdk5)およびc-Ablチロシンキナーゼが線条体のドパミン・グルタミン酸シグナルの調節因子として働いていることを見出し (Neuroscience 2011;189:25-31 & Front Cell Neurosci 2013; 7:12)、マウスMPTPモデルにおいてc-Abl活性阻害剤がパーキンソン症状に対する治療薬になることを報告した (Front Cell Neurosci 2014;8:50)。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 1件) 図書 (5件)
Front Cell Neurosci
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