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2012 年度 実施状況報告書

IDH1変異体を有するグリオーマの細胞多様性と治療応答性・抵抗性分画の同定

研究課題

研究課題/領域番号 23500429
研究機関九州大学

研究代表者

鈴木 諭  九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (90294917)

キーワードglioma / astrocytoma / oligodendroglioma / IDH1 / immunohistochemistry
研究概要

1.前年度にIDH1変異体とMAP-2eの発現を免疫組織化学的に検討したグリオーマサンプルにおいて、さらなるグリオーママーカー(p53、DCX、nestin)、増殖マーカー(Ki67)、細胞系譜特異的マーカー(GFAP、Olig2、Iba-1)に対する免疫染色を加え、IDH1変異体とMAP-2eの発現と比較した。各腫瘍型においてこれらのマーカーの多くがIDH1変異体と共発現したが、これらマーカーとMAP-2eを共発現し、腫瘍細胞と区別のつかない形態を示す細胞の中に、IDH1変異体陰性の細胞が存在した。このことは、同一 腫瘍組織内において遺伝子背景の異なる腫瘍細胞あるいは腫瘍細胞様の振る舞いを示す反応性コンポーネントが存在することをさらに裏付ける所見であると考えられた。
2.IDH1コドン132点変異のスクリーニング法を確立するため、PCRと制限酵素を用いたPCR-RFLP法(Meyer 2010, Brain Pathol)を導入し、グリオーマ細胞株U87MG、U251MG、U373MGにおいて有効性を確認した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

免疫染色によるスクリーニングをおおむね完了し、当初の仮説の裏付けが得られつつある。また、その結果を確認するための中心的手段となるIDH1コドン132点変異のスクリーニング法を確立した。

今後の研究の推進方策

光顕レベルで形態上ならびにマーカー発現上の区別がつかないIDH1R132H陽性細胞と陰性細胞の遺伝子背景の異同を検討するために、 選択したパラフィン切片よりマイクロダイセクション法を用いて症例ごとに陽性細胞、陰性細胞に分けて回収し、プールする。それぞ れのプールからDNAを抽出し、全ゲノム増幅法(Qiagen社WGA kitによる)によりDNAを均等に増幅し、以下の実験のサンプルとする。 1.IDH1コドン132点変異の解析:PCRと制限酵素を用いたPCR-RFLP法(Meyer 2010, Brain Pathol)により、免疫染色でIDH1R132H陽性 あるいは陰性となる細胞のR132H変異の有無をスクリーニングする。さらにPCRで増幅されたDNA断片のシークエンシングにより、結果 を確認する。 2.アレイCGHによる染色体の解析:さらに免疫染色でIDH1R132H陽性あるいは陰性となる細胞の遺伝子背景をゲノムワイドに比較する ため、それぞれの分画から得られたDNAの状態を、アレイCGHによって比較検討する。当院のグリオーマサンプルはルーチンで染色体1 番、10番、17番、19番のLOHが解析されているため、IDH1R132H陽性分画、陰性分画のCGHの結果と比較し、対応した結果が得ら れるかを検討する。 以上の方法により、ヒトグリオーマ組織における腫瘍性および非腫瘍性分画の存在パターンにつき形態学的な基礎的知見を得、抗IDH1 R132H抗体出現以降のグリオーマの病理診断における各種組織化学的マーカー使用のあり方について一定の指針を提示する。さらに分 子病理学的所見に基づき、真の治療ターゲットとなる腫瘍幹細胞を組織切片上に同定する試みの端緒とする。

次年度の研究費の使用計画

次年度の研究費は、すべて抗体類、分子生物学的解析に必要な試薬類、ディスポプラスチック器具などの消耗品に当てる予定である。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2013 2012

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (2件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Radiation-induced spinal cord glioblastoma with cerebrospinal fluid dissemination subsequent to treatment of lymphoblastic lymphoma.2013

    • 著者名/発表者名
      Kikkawa Y, Suzuki SO, Nakamizo A, Tsuchimochi R, Murakami N, Yoshitake T, Aishima S, Okubo F, Hata N, Amano T, Yoshimoto K, Mizoguchi M, Iwaki T, Sasaki T.
    • 雑誌名

      Surg Neurol Int.

      巻: 未定 ページ: 未定

    • DOI

      10.4103/2152-7806.107905

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Pediatric glioblastoma with oligodendroglioma component: Aggressive clinical phenotype with distinct molecular characteristics.2013

    • 著者名/発表者名
      Mizoguchi M, Hata N, Suzuki SO, Fujioka Y, Murata H, Amano T, Nakamizo A, Yoshimoto K, Iwaki T, Sasaki T.
    • 雑誌名

      Neuropathology

      巻: 未定 ページ: 未定

    • DOI

      10.1111/neup.12029

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Molecular characteristics of glioblastoma with 1p/19q co-deletion.2012

    • 著者名/発表者名
      Mizoguchi M, Yoshimoto K, Ma X, Guan Y, Hata N, Amano T, Nakamizo A, Suzuki SO, Iwaki T, Sasaki T.
    • 雑誌名

      Brain Tumor Pathol

      巻: 29 ページ: 436-441

    • DOI

      10.1007/s10014-012-0107-z

  • [学会発表] Hrm法によるIDH1 mutation解析2012

    • 著者名/発表者名
      秦暢宏、溝口昌弘、吉本幸司、村田秀樹、空閑太亮、鈴木諭、岩城徹、佐々木富男
    • 学会等名
      第30回日本脳腫瘍病理学会
    • 発表場所
      名古屋
    • 年月日
      20120524-20120526
  • [学会発表] ニューロピルと真性ロゼットに富む胎児生腫瘍(ETANTR)の2例2012

    • 著者名/発表者名
      鈴木諭、久岡正典、秦暢宏、田中俊也、吉本幸司、溝口昌弘、若宮富浩、吉浦敬、佐々木富男、岩城徹
    • 学会等名
      第30回日本脳腫瘍病理学会
    • 発表場所
      名古屋
    • 年月日
      20120524-20120526
  • [図書] 癌診療指針のための病理診断プラクティス「脳腫瘍」2012

    • 著者名/発表者名
      鈴木諭、岩城徹(青笹克之、中里洋一編集)
    • 総ページ数
      348
    • 出版者
      中山書店

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公開日: 2014-07-24  

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