• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2011 年度 実施状況報告書

オリゴデンドロサイトの髄鞘化と軸索保護におけるプロスタグランジンの役割の解明

研究課題

研究課題/領域番号 23500436
研究機関愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所

研究代表者

千葉 陽一  愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所, 病理学部, 主任研究員 (30372113)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワードオリゴデンドロサイト / プロスタグランジン / 髄鞘 / 軸索保護 / ニューロン・グリア相互作用
研究概要

本研究計画は、オリゴデンドロサイトの生理機能と病態形成におけるプロスタグランジン(PG)F2alphaの役割を明らかにすることを目的としている。23年度は、ラット由来初代培養オリゴデンドロサイトにおいて、PGF2alphaの合成、受容に関する分子の発現とその成熟段階による発現変化、及びオリゴデンドロサイトが実際にPGF2alphaに対して応答を示しうるか否かについて検討した。免疫細胞化学及びRT-PCRにより、最近新たに同定された中枢神経系における主要なPGF2alpha合成酵素であるprostamide/PGF synthase (PM/PGFS)が培養オリゴデンドロサイト、及びその前駆細胞で発現していることを見出した。当研究室で開発した、PGF2alphaを直接免疫染色で検出する手法を培養細胞に応用したところ、成熟オリゴデンドロサイトでも前駆細胞でもPGF2alphaの産生が確認された。一方、PGF2alphaの受容体であるFPは成熟オリゴデンドロサイトでは発現しているが、オリゴデンドロサイト前駆細胞では発現が低いことを見出した。Fluo-4を用いて細胞内カルシウム濃度の変動を観察したところ、成熟オリゴデンドロサイトにPGF2alphaを作用させると細胞内カルシウムの上昇が観察されたのに対し、前駆細胞では細胞内カルシウムの変動はなかった。以上から、成熟オリゴデンドロサイトはPGF2alphaの作用を受け、細胞内カルシウムの上昇を介して何らかの応答をする可能性が示唆された。以上の結果は、PGF2alphaがオリゴデンドロサイトに対して何らかの機能を有する可能性を示すもので、PGF2alphaの脳内機能の解明に貢献しうるものと考える。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

一部研究内容の変更を加えたが、次年度以降の研究を進めるための基礎的なデータはほぼ出揃っており、研究計画の全体の流れの中では順調に進展しているものと考える。

今後の研究の推進方策

24年度には、研究所に新たに導入された定量PCRのシステムを利用し、PGF2alpha関連分子の成熟段階による発現変化を定量的に評価する実験を行う。また、PGF2alphaのオリゴデンドロサイトにおける機能を明らかにするため、合成酵素PMPGFSのノックアウトマウス由来の初代培養オリゴデンドロサイトの形質や、FP受容体のアゴニスト、アンタゴニストを作用させた際の培養オリゴデンドロサイトの変化について検討を行う。さらに、軸索とオリゴデンドロサイトの相互作用に関与するかどうかを知るために、AXISチャンバーを用いた共培養系の構築を行う。

次年度の研究費の使用計画

物品費  970,000円旅費    80,000円謝金等  150,000円大型備品の購入予定はない。物品費として、細胞培養、生化学・分子生物学的実験のための消耗品を中心に購入を予定している。日本神経病理学会(新潟、2泊3日)、基礎老化学会(船橋、1泊2日)での成果発表を予定しており、その分の旅費を計上した。実験補助、および英文校正に対する謝金として150,000円の支出を予定している。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2011

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (5件)

  • [雑誌論文] Proteomic identification of hippocampal proteins vulnerable to oxidative stress in excitotoxin-induced acute neuronal injury.2011

    • 著者名/発表者名
      Furukawa A, Kawamoto Y, Chiba Y, Takei S, Hasegawa-Ishii S, Kawamura N, Yoshikawa K, Hosokawa M, Oikawa S, Kato M, Shimada A
    • 雑誌名

      Neurobiology of Disease

      巻: 43 ページ: 706-714

    • DOI

      10.1016/j.nbd.2011.05.024

    • 査読あり
  • [学会発表] アストロサイト系譜細胞の代謝異常によって生じる脳発達障害メカニズムの解析2011

    • 著者名/発表者名
      榎戸靖、長谷川弘、河内全、千葉陽一、島田厚良、細川昌則
    • 学会等名
      第84回日本生化学会
    • 発表場所
      京都
    • 年月日
      2011.9.24
  • [学会発表] 学習の遅れと歩行障害で発症し、多彩な神経症状が進行した男性の剖検例2011

    • 著者名/発表者名
      千葉陽一、武井史郎、石井さなえ、細川昌則、島田厚良、小森拓
    • 学会等名
      第3回日本神経病理学会東海・北陸地方会
    • 発表場所
      長久手
    • 年月日
      2011.9.10
  • [学会発表] 老化促進モデルマウスにみられるサイトカインを介した神経保護的グリア応答機能の低下2011

    • 著者名/発表者名
      石井さなえ、武井史郎、稲葉宗夫、千葉陽一他
    • 学会等名
      第52回日本神経病理学会
    • 発表場所
      京都
    • 年月日
      2011.6.4
  • [学会発表] カイニン酸誘導てんかん発作に伴う海馬プロスタグランジンF2a産生亢進の免疫組織学的解析2011

    • 著者名/発表者名
      武井史郎、石井さなえ、上川篤志、古川絢子、千葉陽一他
    • 学会等名
      第52回日本神経病理学会
    • 発表場所
      京都
    • 年月日
      2011.6.4
  • [学会発表] 内側側頭葉てんかん患者の海馬における酸化損傷タンパク質の解析2011

    • 著者名/発表者名
      古川絢子、柿田明美、千葉陽一 他
    • 学会等名
      第52回日本神経病理学会
    • 発表場所
      京都
    • 年月日
      2011.6.3

URL: 

公開日: 2013-07-10  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi