• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2012 年度 実施状況報告書

シナプス後肥厚部に発現するLRP4の高次神経機能への関与

研究課題

研究課題/領域番号 23500441
研究機関信州大学

研究代表者

棚橋 浩  信州大学, 医学系研究科, 准教授 (90236654)

研究分担者 鈴木 龍雄  信州大学, 医学系研究科, 教授 (80162965)
キーワード神経可塑性 / シナプス / 合指多指症 / 歯数過剰 / 不正咬合 / ノックアウトマウス / 腎臓欠失 / リン酸化
研究概要

本研究では胎生期の脳、成体の脳の神経新生、シナプス新生へのLRP4の関与を調べると共にKOマウスの学習・行動・情動等の高次神経機能を解析することによりLRP4の関与する神経回路形成、神経可塑性獲得の仕組みを明らかにする。
1)LRP4のconventional KOマウス、神経幹細胞特異的(Nestin-Cre)条件付きKOマウス、前脳特異的(CaMK2α-Cre)条件付きKOマウスを作製した。Lrp4 conventional KOマウスはすべて出生直後に呼吸不全で死亡し、合指多指症が見られた。また殆どのKOマウスに両方/片方の腎臓の欠損が見られた。Nestin-Cre Lrp4 KOマウスもすべて出生直後に呼吸不全で死亡したが、合指多指症、腎臓の欠損は見られなかった。一方、CaMK2α-Cre Lrp4 KOマウスは、同腹のマウスと同様に成長し繁殖可能であり、一部のKOマウスに合指多指症、歯数過剰、不正咬合が見られた。
2)Lrp4 conventional KOマウスを用いて胎生期の脳層構造の解析と4週齢のCaMK2α-Cre Lrp4 KOマウスをBrdU処理して海馬歯状回のBrdU陽性細胞数と4週間後のBrdU陽性細胞の生存率を解析したところ、コントロールとKOマウス間に有為な差は見られなかった。またBrdU陽性の細胞が神経細胞、アストロサイトいずれかに分化したか調べたが差はなかった。一方、CaMK2α-Cre Lrp4 KOマウスを用いて電気生理実験、行動科学実験を行うと予備的な結果ではあるが、いくつかの試験においてKOマウスに異常が見られた。
3)マウスLRP4を抗原として高感度の抗体を作製する事ができた。抗LRP4リン酸化1900S特異的抗体を作製しin vivoで1900Sのリン酸化が起こっている事が確認できた。
4)培養アストロサイトでLRP4の発現が見られた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

LRP4のconventional KOマウス、神経幹細胞特異的(Nestin-Cre)条件付きKOマウス、前脳特異的(CaMK2α-Cre)条件付きKOマウスを作製でき、それぞれのKOマウスにコントロールと異なる表現型を見つけることができた。特にCaMK2α-Cre Lrp4条件付きKOマウスでは電気生理実験、行動科学実験を行うと予備的な結果ではあるが、いくつかの試験においてKOマウスに異常を見つけることができた。これらの事から当初研究計画は、おおむね順調に進展している。
当初計画以外の進展として1)高感度の抗マウスLRP4抗体を作製できた事、抗リン酸化特異的抗体の作製は難しいが、抗LRP4リン酸化1900S特異的抗体を作製しin vivoで1900Sのリン酸化が起こっている事が確認できた。2)神経細胞だけでなく培養アストロサイトでもLRP4の発現が見られた事からLrp4 KOマウス由来の培養アストロサイトを用いてLRP4の機能解析ができるようになった事等があげられる。

今後の研究の推進方策

CaMK2α-Cre Lrp4条件付きKOマウスを用いて電気生理実験、行動科学実験を行うと予備的な結果ではあるが、いくつかの試験においてKOマウスに異常が見られたのでより詳細な解析を行う。Lrp4 KOマウス脳におけるシナプス新生の解析、スパインの数、形状、樹状突起の分岐、長さ等の定量解析を行う。
抗LRP4リン酸化1900S特異的抗体を用いてリン酸化1900Sの神経可塑性に及ぼす影響を調べる予定である。
Lrp4 KOマウス由来の培養アストロサイトを用いてLRP4の機能解析を行う。

次年度の研究費の使用計画

前年度未使用額が39万円あるが、これは当初計画で見込んだよりも安価に物品の購入ができた事、一部購入物品の納品日が次年度となった事、当初計画では海外出張を本年度実施予定であったが、研究の進歩状況により次年度実施する事が次年度使用額を生じた原因である。次年度の研究費は殆ど動物飼育費、消耗品の購入に用いる。

URL: 

公開日: 2014-07-24  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi