研究課題/領域番号 |
23500442
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
中山 耕造 信州大学, 医学部, 講師 (70192680)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | アルツハイマー病 / γーセクレターゼ / APP / Notch / 神経変性疾患 / 認知症 / シグナル伝達 / アポトーシス |
研究概要 |
我々は、NotchやDeltaの解析から、γ―セクレターゼの本来の生理機能はAPPを含む1型膜蛋白質のシグナル伝達の調節にあり、それがアルツハイマー病の発症に関係しているのではないかと考えている。実際、我々は神経細胞に分化誘導できるテラトカルチノーマ細胞P19を用いて、APPの細胞内ドメイン(AICD)は核へ移行し、神経細胞選択的にアポトーシスを引き起こす事を示している。 23年度は、DNAマイクロアレイを用いた解析により、この神経細胞選択的アポトーシスの過程でAICDがダイナミックに遺伝子の発現を変化させる事を明らかにし、APPのシグナル伝達機構がアルツハイマー病の発症機序に関係する可能性を示唆して論文を発表した。 さらに、細胞膜から切り出されたAICDは、核に移行して転写因子と結合し転写を変化させているのではないかと考えられるが、現在のところ、その核移行にAICD自体のリン酸化が関係しているのではないかと考えられる結果が出ている。 このように、本研究の基礎となる分子及び細胞レベルでの解析では、AICDがダイナミックに遺伝子発現を変化させ、神経細胞選択的アポトーシスを誘導する事を明らかにした。より生理的な状態でもこの細胞死がアルツハイマー病の発症を反映していないのかを調べるために、共同研究先の新潟大学脳研究所で、AICDを発現するトランスジェニックマウス(Tg)の作製を試みているが、タンパク質レベルでのAICDの発現は認められなかった。今後この原因を検討するとともに、より強力なCAGプロモーター等を用いて、再度AICDを発現するTgの作製を試みる予定である。AICDを発現するTgが得られた場合、信州大学において早急に解析をおこなう予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
我々は、本研究の基礎となる細胞レベルでの解析において、神経細胞に分化誘導できるテラトカルチノーマ細胞P19を用いて、APPの細胞内ドメイン(AICD)は核へ移行し、神経細胞選択的にアポトーシスを引き起こす事を示している。 当初の計画では、この神経細胞選択的な細胞死の分子レベルでのメカニズムの解明、及びより生理的な状態でもこの細胞死が起る事を示すために共同研究先の新潟大学脳研究所で、AICDを発現するトランスジェニックマウス(Tg)を作製する予定であった。 23年度は、DNAマイクロアレイを用いた解析により、この神経細胞選択的なアポトーシスの過程でAICDがダイナミックに遺伝子の発現を変化させる事を明らかにしてた。また、細胞膜から切り出されたAICDは、核に移行して転写因子と結合し転写を変化させているのではないかと考えられるが、その核移行にAICD自体のリン酸化が関係しているのではないかと考えられる結果が出ている。これらのことから、研究はおおむね順調に進展していると言う事ができる。 ただ、共同研究先の新潟大学脳研究所で、AICDを発現するトランスジェニックマウス(Tg)の作製を試みているが、タンパク質レベルでのAICDの発現は認められず、現在研究を急いでいる。
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今後の研究の推進方策 |
前述のように、予定では23年度にAPPの細胞内ドメイン(AICD)Tgを得ているはずであったが、タンパク質レベルでのAICDの発現を確認できるTgは得られなかった。本年度は、この原因を検討するとともに、引き続いて新潟大学脳研究所においてより強力なCAGプロモーター等を用いて、再度AICDを発現するTgの作製を試みる予定である。AICDを発現するTgが得られた場合、信州大学において早急に解析をおこなう予定である。 我々は、APPの場合もNotchやDeltaと同様に、γ―セクレターゼによって切り出された細胞内ドメイン(AICD)が核に移行して特定の転写因子に結合することによりその活性を調節し、遺伝子の発現を制御しており、それがADの発症に何らかの関与をしているという作業仮説のもと、本研究をおこなっている。したがって、AICDに結合する転写因子が存在するならば、その因子を同定する事は本研究において極めて重要であると考えている。本年度以降、このAICDに結合する転写因子の同定を試みる。 前述のように、我々は既に、AICDによって誘導される神経細胞選択的なアポトーシスの過程で、発現量が変化する遺伝子をDNAチップを用いて同定している。この結果を基に、AICDによって発現量が大きく変化し、かつ細胞死に関係している事が知られている遺伝子を選び、それらに対するsiRNAもしくはアンチセンスオリゴを前述したAICDを発現するP19細胞に導入して発現を阻害し、細胞死への影響を調べる。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初の計画で見込んだよりも安価に研究が完了したために、259,506円の次年度使用額が生じた。 本年度の研究計画の変更により、細胞培養用の試薬や抗体、酵素等の消耗品の購入が予定より多くなると考えられる。従って、この259,506円は全て物品費として使用し、これらの消耗品を購入したい。 その他の経費として、200,000円を計上しているが、論文の投稿代や英文の校正等の経費とする予定である。 また、旅費として300,000万円を計上しているが、これは当初の予定通りに国外での情報収集のために使用したい。
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