研究課題/領域番号 |
23500444
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研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
熊田 竜郎 浜松医科大学, 医学部, 助教 (00402339)
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キーワード | 小脳皮質 / 細胞外GABA / 葉形成 |
研究概要 |
小脳に特徴的な十葉構造は胎生期後期から新生仔期にかけて形成する。この葉形成には小脳顆粒細胞の前駆細胞の分裂が関与する。この細胞の産生は小脳外顆粒層で長期間にわたり持続して行なわれているが、葉構造形成のためには生後直後に顕著な分裂が促進する必要があり、この機序に細胞外GABAが関わるという仮説を立てて、本研究課題で検証している。これまでに我々は豊橋科学技術大学と共同で小脳皮質より放出される細胞外GABA量の放出を可視化する技術を開発し、新生仔期に特異的に小脳外顆粒層に細胞外GABAが増え、小脳顆粒前駆細胞の分裂に寄与することを見出してきた。平成24年度は小脳皮質領域と細胞外GABAの関係をより明確にするために、本イメージング法の技術的な改善をめざし詳細な条件検討を行い信頼性を高めてきた。その結果、より定量的に小脳皮質に分布する細胞外GABAの撮像をすることが可能になり、小脳では少なくともGABAは容量依存性アニオンチャネルから放出されることを確認することができた。次年度はさらに詳細な葉構造と細胞外GABA量の分布の関係性について検討する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請者らは既に1)GABAニューロンがまだ存在しない生後初期のラット小脳外顆粒層で細胞外GABA量の増加すること、2)この時期におけるGABA-GABAA受容体シグナリングは小脳外顆粒層外層における小脳顆粒前駆細胞の分裂に関与することを明らかにしてきた。この画期的な結果を見出し現在論文に投稿準備中である。投稿に当たり現行のイメージング法をより客観的に信頼性の高いシステムへ改善していく必要があった。論文投稿への準備およびより定量的に空間分解能の高い技術を得たという観点から、一部計画より遅れる課題もあるが、おおむね順調に進展している、とした。
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今後の研究の推進方策 |
細胞外GABAイメージング法により小脳各葉間の細胞外GABA量の空間分布を調査する。薬理学的な実験と合わせて小脳各葉における細胞外GABA量の調節機構について検討する。 培養系を用いて小脳顆粒前駆細胞の分裂と細胞外GABAの関係について調査する。
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次年度の研究費の使用計画 |
申請者は浜松医科大学から常葉大学に異動するが、異動先も同じ市内(浜松市内)にあるため、主に共同研究として継続して実施する予定である。そのため一部研究継続に必要な備品を購入する可能性もあるが、主に消耗品を購入する予定である。
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