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2011 年度 実施状況報告書

ヒト胚性幹細胞から作製した筋萎縮性側索硬化症モデル細胞を用いた疾患発症機序の研究

研究課題

研究課題/領域番号 23500446
研究機関京都大学

研究代表者

饗庭 一博  京都大学, 物質―細胞統合システム拠点, 講師 (30564752)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワード筋萎縮性側索硬化症 / 脳神経疾患 / ヒトES細胞 / ヒト多能性幹細胞 / 疾患モデル細胞
研究概要

本研究では筋萎縮性側索硬化症(ALS)の原因遺伝子の変異型を発現するヒト胚性幹細胞(ヒトES細胞)を作製し、運動神経細胞へ分化させたALSモデル細胞を解析することによってALS発症機序の解明を目的としている。 今年度はALS原因遺伝子を発現するヒトES細胞株の作製を行った。これらの細胞株を作製する際には、我々が開発したヒトES細胞のゲノム特定部位(ヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ1遺伝子座)に遺伝子を導入できる方法を用いた。ALS原因遺伝子であるスーパーオキシドディスムターゼ1(SOD1)とTAR DNA binding protein-43(TDP43)の発現ベクターを構築した。発現ベクターのプロモーターとして、常に導入遺伝子が発現するタイプのプロモーターを用いた。構築した発現ベクターをヒトES細胞へ導入したところ、変異型SOD1の過剰発現はヒトES細胞の増殖、生死には影響が見受けられなかった。発現ベクター由来のSOD1の発現はRT-PCR法によってその発現を確認した。また、TDP43の過剰発現では、野生型遺伝子を発現しているヒトES細胞株のみしか作製できなかった。このことは変異型TDP43の発現が細胞死を引き起こしているのかもしれない。そのため、TDP43に関しては発現を制御できる発現ベクターを導入したヒトES細胞を作製し、薬剤によってTDP43の発現が誘導されることを確かめた。SOD1発現ヒトES細胞では未分化マーカーの発現を確認し、核型解析によって、得られたSOD1発現ヒトES細胞の核型が正常であることを確認した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

ゲノムの特定部位にALS原因遺伝子(野生型と変異型)が導入されたSOD1発現ヒトES細胞株を作製し、その未分化性、正常核型を保持していることを確認した。TDP43遺伝子の場合、その発現を制御できるタイプの発現ベクターを導入したヒトES細胞株を作成し、その発現誘導を確認した。おおむね計画通り順調に進捗している。

今後の研究の推進方策

得られたALS原因遺伝子を発現しているヒトES細胞を運動神経細胞へ分化誘導させ、ALS原因遺伝子を発現しているヒトES細胞が運動神経細胞への分化能を保持していることを確認する。また、ALS症状進行の原因の一つは、アストロサイトから分泌される因子であると報告されている。得られた細胞株をアストロサイトへ分化誘導し、アストロサイトへの分化能も確認する。また、運動神経細胞への分化誘導後、ALSモデル細胞での運動神経細胞特異的な細胞死を検出する。それぞれのALSモデル細胞間で、細胞死率に差があるのかどうかを調べる。

次年度の研究費の使用計画

本年度は順調に研究が進展し、予算も予定通り消費したが、消耗品の一部が予定より安価に購入できたため、次年度に使用する研究費が生じた。その繰り越した研究費は、次年度の研究費と合わせて、ヒトES細胞の培養維持や神経細胞への分化誘導に必要な培地、増殖因子、培養器材、コーティング試薬や免疫染色法や遺伝子解析のための試薬などを購入する。また、成果発表と情報収集するための学会参加への旅費として使用する予定である。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (3件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Efficient and Accurate Homologous Recombination in hESCs and hiPSCs Using Helper-dependent Adenoviral Vectors2012

    • 著者名/発表者名
      Aizawa E, Hirabayashi Y, Iwanaga Y, Suzuki K, Sakurai K, Shimoji M, Aiba K, Wada T, Tooi N, Kawase E, Suemori H, Nakatsuji N, Mitani K
    • 雑誌名

      Molecular Therapy

      巻: 20 ページ: 424-431

    • DOI

      10.1038/mt.2011.266

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Chemical library screening identifies a small molecule that downregulates SOD1 transcription for drugs to treat amyotrophic lateral sclerosis2011

    • 著者名/発表者名
      Murakami G, Inoue H, Tsukita K, Asai Y, Amagai Y, Aiba K, Shimogawa H, Uesugi M, Nakatsuji N, Takahashi R
    • 巻
      11
    • ページ
      405-414
    • DOI

      10.1177/1087057110397888

    • 査読あり
  • [雑誌論文] ES細胞(胚性幹細胞)研究2011

    • 著者名/発表者名
      門田真、饗庭一博、 中辻憲夫
    • 雑誌名

      日本臨牀 幹細胞治療―基礎研究の進歩と臨床応用―

      巻: 69 ページ: 2109-2113

  • [学会発表] ヒト多能性幹細胞から作製されるモデル細胞 -神経変性疾患モデルと心筋モデル-2012

    • 著者名/発表者名
      饗庭一博
    • 学会等名
      日本農芸化学会(招待講演)
    • 発表場所
      京都女子大学(京都府)
    • 年月日
      2012年3月23日
  • [学会発表] 疾患発症機序と創薬研究のためのヒト多能性幹細胞由来の神経変性疾患モデル細胞2011

    • 著者名/発表者名
      饗庭一博
    • 学会等名
      ヒトES/iPS細胞:産業応用最前線セミナー ~細胞治療と創薬スクリーニング~(招待講演)
    • 発表場所
      東京コンファレンスセンター・品川(東京都)
    • 年月日
      2011年12月12日
  • [学会発表] Human pluripotent stem cells and in vitro disease models2011

    • 著者名/発表者名
      Kazuhiro Aiba
    • 学会等名
      ABC 2011 in Kyoto - ABC proteins/Membrane Meso-Domains/ES-iPS Cells-(招待講演)
    • 発表場所
      京都大学(京都府)
    • 年月日
      2011年11月16日
  • [図書] Efficient integration of transgenes and their reliable expression in human embryonic stem cells In Embryonic Stem Cells: Basic Biology to Bioengineering2011

    • 著者名/発表者名
      Sakurai K, Shimoji M, Aiba K, and Nakatsuji N
    • 総ページ数
      105-122
    • 出版者
      INTECH

URL: 

公開日: 2013-07-10  

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