研究課題
本研究では,イオンチャネル型グルタミン酸受容体 (GluR)の一つであるNMDA型GluRに対する自己抗体を生じ,記銘力障害やけいれんを呈する急性脳炎について,その発生頻度を特異的抗体診断により明らかにすること,本症患者に生じる抗NMDAR抗体の神経症状への関与を明らかし、その発症機序を解明することを目的とした.以下に23-25年度にかけての研究成果をまとめる.・ 自己免疫性脳炎の診断を目的に,抗NMDAR抗体特異的検査法を確立した申請者の元に多くの検体が集積し,抗体検査を行った。この結果,我が国における当該疾患の発生頻度の概略とその臨床的特徴を明らかにすることができた.・ 抗体陽性例の髄液を、マウスの海馬スライス標本に作用させ、海馬CA1領域で誘導したlong term potentiation (LTP) が直接阻害されることを報告した.この結果は,自己免疫性中枢神経疾患患者に生じた自己抗体が直接神経症候に関わること示唆したはじめての報告となった.・ 本抗体が海馬細胞の形態及び細胞内動態に及ぼす影響を,タイムラプス画像および細胞内mRNAの発現パターンにより解析した.培養海馬細胞に患者の自己抗体を反応させると、NMDARが細胞内にendocytosisされ,この過程で炎症に関わる28個の遺伝子発現に変動が見られた.・ マウス脳内に,浸透圧ポンプを用いて患者由来の抗体を持続投与し,各種パラメーターでの行動解析,脳組織の形態学的観察を行った.その結果,抗体投与マウスでは,対照に比し有意に記銘障害が認められた.しかしながら,神経組織内には炎症病態は観察されず,抗体はNMDARの機能傷害を生じていると考えられた.
すべて 2013 その他
すべて 雑誌論文 (21件) (うち査読あり 13件) 学会発表 (12件) (うち招待講演 5件) 図書 (4件)
Eur Neurol
巻: 69 ページ: 21-26
10.1159/000342023
Mult Sclero J
巻: 19 ページ: 1244-1245
10.1177/1352458512472750
Brain Development
巻: 35 ページ: 670-674
doi.org/10.1016/j.jns.2013.08.022
J Neurol Sci
巻: 335 ページ: 48-57
Cli Neurol Neurosurg
巻: 115 ページ: 1482-1484
10.1016/j.clineuro.2012.11.016
Clin. Exp. Neuroimmunol.
巻: 4 ページ: 239-240
神経内科
巻: 78 ページ: 118-121
臨床神経
巻: 53 ページ: 712-715
Brain Nerve
巻: 65 ページ: 1401-1405
巻: 53 ページ: 551-554
巻: 78 ページ: 477-479
日本神経救急学会誌
巻: 25 ページ: 29-32
巻: 78 ページ: 579-581
巻: 65 ページ: 395-400
成人病と生活習慣病
巻: 43 ページ: 485-489
MS Frontier
巻: 2 ページ: 20-21
日本内科学会雑誌
巻: 8 ページ: 1971-1977
巻: 79 ページ: 341-347
日本医師会雑誌
巻: 142 ページ: 259-260
日本アフェレシス学会雑誌
巻: 32 ページ: 191-197
生体の科学
巻: 64 ページ: 442-443