研究課題/領域番号 |
23500462
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
三輪 秀樹 群馬大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (80468488)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 扁桃体 / 恐怖 / 消去 / GABA作動性ニューロン |
研究概要 |
扁桃体は、恐怖など情動の中枢であり、扁桃体でのGABAを介した神経伝逹は、情動の発現と記憶、さらに不安障害など精神疾患の病因との強い関連性が考えられている。特に扁桃体を囲むようにクラスター状に分布しており、扁桃体への入力を調節していると考えられている扁桃体介在核はGABA作動性ニューロンであり、恐怖記憶の消去過程に重要な役割を担っていると考えられているが、そのニューロンの特性(発現化学マーカー、発火パターン、入出力関係)は不明な点が多い。 本研究では、1.GABA作動性ニューロンを黄色蛍光タンパク質分子Venusで標識したVGAT-Venusトランスジェニックマウス(VGAT:小胞型GABAトランスポーター)な用いて、不安、恐怖の生成過程および恐怖消去過程に関わる扁桃体GABA作動性ニューロンの特性を明らかにすることで、扁桃体神経回路の制御機構を解明することを目標とする。本年度は、恐怖記憶の消去過程に関わると想定される扁桃体GABA作動性ニューロンのサブタイプを検討するために、特にペプチド、オピオイドに着目し、組織学的解析を行った。まず、VGAT-Venusマウスを灌流固定後、凍結切片を作製し、GABA、コレシストキニン、オピオイド、ニューロペプチドY、アクチニン、ソマトスタチン、血管作動性腸ペプチド (VIP)陽性細胞の分布を免疫組織化学的解析により行った。その結果、1. アクチニン陽性細胞は扁桃体に認められなかった。2. VIP陽性シグナルが扁桃体中心核に認めれた。以上の結果から、異なる特性をもつGABA作動性ニューロンが扁桃体の各亜核に局在し各種ペプチド、オピオイドを標的細胞に放出することで、扁桃体による情動磯能の独自の調節を行っていることが示唆された
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究計画ではGABA作動性ニューロンをラベルするためにBACトランスジェニックマウスであるVGAT-Venusマウスを利用している。そこでVenus陽性細胞がGABA陽性細胞かを確認するために、GABA抗体を用いて免疫組織化学による検証を行った。しかしながら、GABA陽性シグナルは組織の表面にしか確認できず、抗体の浸透度など問題が生じた。この問題を解決するために、脳組織の固定、固定方法、抗体の種類、抗体の希釈濃度などさまざまな条件検討を行ったために、研究計画の遅れを生じたが、上記の問題も解決でき、現在引き続き計画通り研究を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
これまでで扁桃体GABA作動性ニューロンの発現化学マーカーによる分類ができた。今後は、これらの各GABA作動性ニューロンの発火特性を電気生理的手法により解析する。さらに、本計画の中心的課題である、内側前頭前野から扁桃体への入力を検討するため、各種トレーサーをin vivoで脳内に注入し、分類したGABA作動性ニューロンのうち、どのサブクラスにシナプス入力があるのかを検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
電気生理学解析を行う予定であり、前年度に繰り越した研究費も合わせ、電気生理学用設備充実のため、除振台などを購入予定である。抗体、試薬など各種消耗品に使用する。研究成果報告のため、学会参加旅費等に使用する。
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