研究課題/領域番号 |
23500462
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
三輪 秀樹 群馬大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (80468488)
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キーワード | 扁桃体 / GABA作動性ニューロン / 免疫組織化学 |
研究概要 |
扁桃体は恐怖など情動の中枢であり、扁桃体でのGABAを介した抑制性神経伝達は情動の発現・記憶、さらには不安障害や心的外傷後ストレス障害(PTSD)など精神疾患の病因との強い関連が考えられている。これらの精神疾患では、恐怖体験の記憶を「無害」であると新たに学習していく「消去」過程の異常が考えられているが、その分子・細胞レベルでのメカニズムは不明な点が多い。 本研究では、GABA作動性ニューロンを黄色蛍光タンパク質分子Venusで標識したVGAT-Venusトランスジェニックマウス(VGAT:小胞型GABAトランスポーター)を用いて、恐怖記憶の生成過程および消去過程に関わる扁桃体GABA作動性ニューロンの同定とその特性を明らかにすることで、扁桃体局所回路の制御機構を解明することを目標とする。 本年度は恐怖記憶の消去過程に関わると想定される扁桃体GABA作動性ニューロンのサブクラスを同定するために、昨年度に引き続き、免疫組織化学的解析を行った。VGAT-Veunusマウスを灌流固定後、凍結切片を作製し、コレシストキニン(CCK)、血管作動性腸ペプチド(VIP)、ニューロペプチドY(NPY)、コルチコトロピン放出因子(CRF)、コリンアセチルトラスフェラーゼ(ChaT)の分布を解析した。その結果、ChaTは扁桃体基底外側核(BLA)に免疫陽性シグナルが検出されたことから、コリン性神経入力による扁桃体回路制御が行われていることが示唆された。 これまでの結果をまとめて、北米神経科学会SfN(October, New Orleans, USA)にて成果報告を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
GABA作動性ニューロンの化学マーカーによる分類のめどがたったので、今後恐怖記憶の各過程(獲得・再固定・消去)においてどのGABA作動性ニューロンのサブクラスが特に活動して扁桃体神経回路を制御しているかの解析に進む予定である。
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今後の研究の推進方策 |
扁桃体神経回路を制御する脳部位を特定するために、まず逆行性トレーサーを扁桃体に注入し同定を行う。そして同定した脳部位に順行性トレーサーを注入し、扁桃体GABA作動性ニューロンのどのサブクラスに投射しているのかを解析する。現在までの結果をもとに論文としてまとめる時間を確保するため、トレーサー購入分の研究費を次年度に使用することに変更する。
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次年度の研究費の使用計画 |
前年度から繰り越した研究費をトレーサーなど各種消耗品の購入に使用する。 また学会などの成果報告あるいは研究技術の習得のための共同研究など国内旅費に使用する。
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