概日時計とは一日周期の体内時計であり、その中枢は脳の視交叉上核に存在する。本研究では、AMP-activated protein kinase (AMPK) が、概日時計のリズム形成に深く関与する可能性について検討を行った。マウス視交叉上核を培養し、AMPKの活性化剤を投与しその効果について解析を行った結果、時計遺伝子発現リズムの周期は延長し、位相は前進し、振幅については一時的な増大の後、減衰がみられることを明らかにした。これらの結果は、AMPKが視交叉上核において概日リズムの形成に関与し、さらに入力機構にも関わっている可能性が示唆された。次に、視交叉上核について、免疫組織化学的解析を行ったところ、AMPKの基質分子が、視交叉上核の腹側部分に局在していることが明らかになった。この部分は、網膜からの入力がある部分のため、上記の入力機構との関連と整合性のある結果が得られたといえる。
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