本研究の目的は、従来の非侵襲的検査では検出できなかった発作時HFOを脳磁図で捉え、その空間的拡がりや経時的変化を詳細に検討し、その領域が頭蓋内脳波結果といかに相関するかを検証することである。対象は皮質てんかん焦点切除に先立って、頭蓋内電極留置による慢性頭蓋内脳波モニタリングを要した難治性新皮質てんかん患者とする。難治性てんかん患者においては、まず非侵襲的な術前評価を行い、てんかん焦点の検索を行うが、これらには頭皮ビデオ脳波モニタリング、MRI、SPECT、PET、脳磁図を含む。対象患者において、発作時脳磁図データから得られたHFOを正距方位図法および傾斜磁場トポグラフィー(GMFT)により解析し、推定されたてんかん焦点範囲が、慢性頭蓋内脳波記録から得られた焦点範囲といかに相関するかを検証するために、これまで頭蓋内電極設置を要した7症例に対して、脳磁図との同時記録を行い発作の記録を試みた。側頭葉内側型てんかん3例中1例で、発作が記録されたが、頭蓋内脳波で側頭葉内側部に限局した棘波は、GMFTでは感知されなかった。一方、新皮質てんかん4例中3例の発作間欠期棘波解析では、GMFTは頭蓋内脳波と同様の時間・空間的変化を示すことが判明した。これらの一部は国内学会で成果を発表した。一方、GMFT解析手法を転倒発作に応用し、脳波における発作間欠期の全般性棘波の分布状態が脳梁前方離断術の予後推定に有用であることを見出し、その成果を国際学会および論文にて発表した。
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