研究課題
血管の新生と抑制のバランスの分子基盤を理解することは、学問的に価値あるばかりでなく、それらの疾患に対する新たな分子薬剤の創出に繋がるものであり、医学的にも産業的にも大変価値が高いと考えられる。当該年度では、シグナル伝達因子の一つであるRhoJノックアウトマウスを用いて、腫瘍血管新生の役割を検討した。LLC腫瘍細胞を皮下に移植し、経時変化を追跡したところ、野生型とノックアウト間で腫瘍サイズには有意差は認められなかった。一方、網膜血管新生は血管新生を研究する上で、近年一般的になりつつある方法である。我々がRhoJノックアウトマウスの網膜血管の発生を注意深く解析したところ、動脈・静脈の分岐数が、野生型マウスのそれよりも少ないことが判明し、血管のリモデリングに寄与することが示された。Flk1発現をモニターするマウスは、生理的・病的血管新生の研究だけでなく、神経系研究にも極めて有効であることが我々の先行研究により示されていた。しかし、以前我々が作製したマウスでは細胞内局在シグナルを付与していないためGFPが細胞質に発現し、仮足を伸ばした血管内皮細胞のイメージングには不向きである。また、GFPは他のトランスジェニックマウスでも頻用される蛍光タンパク質であるため、赤色蛍光タンパク質を血管内皮細胞で発現させられるマウスの作製が望まれていた。当該年度では、Flk1-mCherry BACトランスジーンを構築し、受精卵へ導入した。その後、スクリーニングしたが、Tgマウスは未だ得られていない。
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Blood
巻: 122 ページ: 1649-1657.
10.1182/blood-2012-12-471102.