C型レクチン受容体の一つであるDCIR遺伝子欠損マウスが加齢に伴い自然発症する腱付着部炎の発症機序と病態形成の進行過程を明らかにし、ヒトの脊椎関節症の病態解明および新規治療法の開発に有用な動物モデルを樹立することを目的としている。当該年度は、前年度までに樹立解析したRag2-/-DCIR-/-マウスとDCIR欠損マウスと各種炎症性サイトカインとの二重欠損マウスを活用し、病態形成を誘導する病原性サイトカインの作用と免疫細胞の制御異常を引き起こすメカニズムの解明を実施した。病態への関与が示唆された病原性サイトカインが間葉系細胞に作用し増殖応答を亢進させることが明らかとなった。またDCIR欠損によりサイトカインバランスが変化し、病原性サイトカインが産生誘導されやすい状態になっていることが示された。その結果、DCIRを介した制御機構の破綻が、免疫細胞の異常活性化を誘導し、骨代謝に作用する炎症性サイトカインの産生が増加することが示唆された。
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