研究概要 |
平成23年度は、X-SCIDラットの作成ならびに表現型および発現解析を行うことを目標とした。 成果)1、X-SCIDラットの作成:ラットIL2レセプターγ遺伝子に変異(IL2rgKO)を加えたgermline transmission可能なES/iPS細胞をWild typeラットのBlastcystにinjectionし、作成したキメララットから得られたfounderのgenotypeをPCR,サザンブロット法により解析した。 その結果、IL2rgKO /ES細胞由来ラットを得たので、このラットを繁殖し、今後の解析およびモデルラットとして実験に用いることとした。 2、表現型および発現解析:末梢血および骨髄、脾臓、胸腺中の白血球分画比をフローサイトメトリー法により解析した結果、野生型に比べIL2rgKOラットではT細胞,B細胞,NK細胞の欠損あるいは著しい減少が認められた。この現象はX-SCIDマウスとほぼ同様の表現型を示していた(SugamuraらBlood, 1996,)。3、異種動物種の細胞移植(ヒト化ラットへの可能性):異種動物の細胞、腫瘍などのin Vivo cultureの可能性を検証するために、X-SCIDラットにヒトの腫瘍細胞セルラインを皮下に移植し、腫瘍の生着増殖を検討した。その結果、野生型では腫瘍形成は認められなかったが、IL2rgKOラットでは移植後3週間までに皮下に腫瘍の形成を認めた。 また、異種の造血細胞等の移植を行うに当たり、adultのIL2rgKOラットの放射線照射量とマウス造血細胞移植の生着率について検討した結果、野生型では照射量に関係なく移植生着は認められなかったが、IL2rgKOラットでは放射線照射をした方がマウス造血細胞の生着率が高くなることが示された。ヒト細胞、同種移植についても現在行っている。
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