研究課題/領域番号 |
23500493
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
杉原 一司 金沢大学, 医学系, 技術専門職員 (10377418)
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研究分担者 |
浅野 雅秀 金沢大学, 学際科学実験センター, 教授 (50251450)
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キーワード | 遺伝子改変動物 / 糖鎖生物学 |
研究概要 |
β1,4-ガラクトース転移酵素-2(β4GalT-2)単純ノックアウトマウスの行動学的解析からβ4GalT-2が合成するガラクトース糖鎖が中枢神経系で機能を持つことが明らかとなった。そこでβ4GalT-2が主要な働きを持つ脳領域や細胞の特定を行い、個体から機能糖鎖分子に至る手がかりを得る為に新しいノックインマウスの作製を行うこととした。 本年度は、昨年度にひき続きβ4GalT-2遺伝子座へのLacZノックインマウス及び、機能回復型β4GalT-2コンディショナルノックアウトマウス作成のためのターゲティングベクターの作成を行い、Cre酵素の働きによりloxP配列間のネオマイシン耐性遺伝子が除かれることで、β4GalT-2遺伝子発現が回復する機能回復型コンディショナルターゲティングベクターの作製に成功した。一方レポーター遺伝子であるLacZ遺伝子をノックインするベクターは、LacZ遺伝子とβ4GalT-2イントロン配列とのあいだに相同領域が存在することがシークエンスの結果明らかになり、ベクターの構築が予想外に難航したが、構築の最終段階に進んでいる。 また、エレクトロポレーションによる遺伝子導入装置の故障による更新に伴い、ES細胞ターゲッティング条件検討を行った結果、一過性発現に用いた場合は高効率で導入される条件が明らかとなったが、ゲノムへの組み込み効率は高くなく、組み込みが高効率な条件検討を行っているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
ES細胞ターゲティングベクターの構築にあたり、単純ノックアウトマウスを作製した際に用いたESゲノムのファージクローンから制限酵素的に切り出し、プラスミドベクターへクローニングするといった方法ではなく、今後更なる遺伝子改変動物の作製に資する為に新しいテクノロジーの導入を試みて行った。具体的にはESゲノムを正確性の高いTaqポリメラーゼを用いてPCRを行い、目的の遺伝子領域を増幅し、いくつかのフラグメントを一度につなぎ合わせる方法を用いた。これにより、2種類のベクターを構築予定であったが、一つは予定どおり構築が完了したが、もう一方がESゲノムとマーカー遺伝子であるLacZとの相同領域の存在などによって非常に難航し予定より大きく遅れる結果となった。
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今後の研究の推進方策 |
ES細胞ターゲッティングが完了次第、キメラマウス作製に取りかかり可及的速やかにノックインマウス作成を完了し、表現型解析まで進めたいと思っている。また、ターゲッティングされたES細胞を用いて神経細胞などへの分化実験と組み合わせてCreの一過性発現を用いてベクターの機能チェックを行うとともにβ4GalT-2が主要な役割を果たす糖タンパク質などを解析する。
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次年度の研究費の使用計画 |
昨年度までに行う予定であったターゲティングベクター構築と、それを用いたES細胞スクリーニング、キメラマウス作成までを早急に行う。これらに必要な培地、マウス、プレートなどの器具に使用する。また本年度はさらに、ES細胞分化誘導実験、糖タンパク質解析、ノックインマウス表現型解析等に使用する。
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