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2012 年度 実施状況報告書

改良型TRECKマウスを用いた細胞移植系の確立

研究課題

研究課題/領域番号 23500496
研究機関奈良先端科学技術大学院大学

研究代表者

斉藤 美知子  奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 助教 (40379558)

キーワード糖尿病 / 再生移植
研究概要

改良型毒素受容体として、増殖因子活性がほとんど失われている変異体TR5とTR6を作製した。TR5とTR6はそれぞれ毒素受容体活性が1/3、1/10に低下しているが、毒素は1分子でも受容体と結合し細胞内に取り込まれるとその細胞を死に至らしめるため、毒素活性の低下は大きな影響を与えないと判断した。改良型毒素受容体が有用であるかどうかの比較検討のため、野生型ヒトHB-EGF(TR1)とTR5, TR6を用いた。ヒトHB-EGF(毒素受容体)を全身で発現させるとマウスはうまれてくることが出来ず、胎児期のHB-EGFの過剰発現は致死となる可能性が報告されている。このため、改良型毒素受容体がマウス個体において本来の毒素受容体で起こっていた障害を改善できるのかどうかを検討することとし、TR1および作製したTR5,TR6が全身で発現するトランスジェニックマウスを作製した(CAG-TR1,CAG-TR5,CAG-TR6)。
これらのトランスジェニックマウスはそれぞれが100匹の産子を得るまでインジェクションを行い、産子の中にどれくらいの割合で遺伝子が導入されているか、また遺伝子が導入されたラインではどれくらいの割合で遺伝子が発現しているかを調べた。
さらに昨年度に引き続き、移植のドナー細胞に用いるモニター系の確立として、全身でルシフェラーゼ遺伝子を発現するマウス(CAG-Luc)を作製し、その発現解析を行った。また、インスリン発現細胞だけを非侵襲的にIVIS system(in vitro imaging system)でとらえることが困難であることを予想し、インスリン発現細胞になると蛍光を発するIns-Venus の作製も行い発現解析を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

計画予定であったROSA-TR6/GFP の作製は、ベクターの作製、ES細胞へのインジェクション、胚盤胞へのインジェクションは行ったがキメラ率のよいキメラマウスが得られず、まだジャームライントランスミッションの起こったマウス作製には至っていない。
しかし、ドナー細胞に用いる予定であるCAG-Luc, Ins-Venus の作製およぼそれらの発現解析は行い、使えるマウスラインを確立には成功している。
改良型毒素受容体の有用性についても、着々とマウスを得て、それぞれの発現解析を行っているところである。

今後の研究の推進方策

インスリンプロモーター制御下で異種タンパク質を発現させると、形態や耐糖能に異常が出るということは知られている。実際インスリン発現細胞でVenusという蛍光タンパク質を発現させたマウスは、10ライン以上のトランスジェニックマウスを解析したがインスリン産生細胞でVenus蛍光を発するラインは1割程度しか得られず、またインスリン産生細胞が100%Venus蛍光を発してはいない。今後さらにどれくらいの割合で、インスリン産生細胞がVenus蛍光を発するのか、インスリン産生細胞以外での細胞でVenus蛍光は認められないか、を詳しく調べる予定である。また、Jackson 研究所からインスリン産生細胞でGFPとルシフェラーゼタンパク質のfusion タンパク質を発現させるマウスを購入し、ドナー細胞として用いる計画もしている。
CAG-TR6およびCAG-Luc, もしくはIns-Venusを掛け合わせたマウスを作製し、そのマウスからドナーとなる細胞を単離して疾患モデルマウスに移植を行う。そのドナー細胞が生着し、機能を発するかどうかを疾患モデルマウスの機能回復を指標として確認していく予定である。毒素投与によって再び機能が失われたら、ドナー細胞が生着して機能していたという証明になる。
さらに再生移植のドナー細胞候補として、膵β細胞以外の細胞を取り出し体外で遺伝子導入を行ってインスリン陽性細胞を作製する試みも行っていく予定である。

次年度の研究費の使用計画

平成24年度の実験が当初予定よりも少ない研究費で遂行できたため、未使用額が生じた。次年度も引き続き、トランスジェニックマウス、ターゲティングマウスの作製に伴うマウス代、飼育代などの諸処の費用が必要である。また、今後の推進方策で述べたように、マウス体外で遺伝子導入を行い、インスリン産生細胞を作ることも計画しているため、その試薬等に費用が生じる。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2013 2012 その他

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (4件)

  • [雑誌論文] Fetal exposure to 2,3,7,8-tetrachlorodibenzo-p-dioxin transactivates aryl hydrocarbon receptor-responsive element III in the tyrosine hydroxylase immunoreactive neurons of the mouse midbrain2013

    • 著者名/発表者名
      Tanida T, Tasaka K, Akahoshi E, Ishihara-Sugano M, Saito M, Kawata S, Danjo M, Tokumoto J, Mantani Y, Nagahara D, Tabuchi Y, Yokoyama T, Kitagawa H, Kawata M, Hoshi N
    • 雑誌名

      Journal of Applied Toxicology

      巻: Jan 8 ページ: 1099-1263

    • DOI

      10.1002/jat.2839

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Negative feedback by IRE1β optimizes mucin production in goblet cells2013

    • 著者名/発表者名
      Tsuru A, Fujimoto N, Takahashi S, Saito M, Nakamura D, Iwano M, Iwawaki T, Kadokura H, Ron D, Kohno K
    • 雑誌名

      Proc Natl Acad Sci U S A

      巻: 110 ページ: 2864-9

    • DOI

      10.1073/pnas.1212484110

    • 査読あり
  • [雑誌論文] A novel mammalian ER-located J-protein, DNAJB14, can accelerate ERAD of misfolded membrane proteins2012

    • 著者名/発表者名
      Kadokura H, Yamamoto Y, Takeuchi M, Saito M, Tsuru A, Kohno K
    • 雑誌名

      Cell Structure and Function

      巻: 37(2) ページ: 177-87

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Comparative study of transplantation of hepatocytes at various differentiation stages into mice with lethal liver damage2012

    • 著者名/発表者名
      R. Kamimura.,T. Ishii.,N. Sasaki.,M. Kajiwara.,T. Machimoto., M. Saito., K.Kohno., H. Suemori, N. Nakatsuji., I. Ikai., K. Yasuchika., and S. Uemoto
    • 雑誌名

      Cell Transplantation

      巻: 21 ページ: 2351-2362

    • DOI

      10.3727/096368912X636957

    • 査読あり
  • [学会発表] Negative feedback by IRE1β optimizes mucin production in goblet cells

    • 著者名/発表者名
      Akio Tsuru, Michiko Saito, Megumi Iwano, Takao Iwawaki, David Ron, Kenji Kohno
    • 学会等名
      Cold spring harbor meeting
    • 発表場所
      Cold spring harbor
  • [学会発表] Negative feedback by IRE1β optimizes mucin production in goblet cells

    • 著者名/発表者名
      Akio Tsuru, Naoko Fujimoto, Satsuki Takahashi, Daisuke Nakamura, Michiko Saito, Rina Nagai, Megumi Iwano, Takao Iwawaki, David Ron, Kenji Kohno
    • 学会等名
      第45回日本発生生物学会・第64回日本細胞生物学会合同大会
    • 発表場所
      兵庫県神戸市
  • [学会発表] The Role of the Unfolded Protein Response in Pancreatic β cells

    • 著者名/発表者名
      Yuichi Tsuchiya, Michiko Saito, Takao Iwawaki, Jun-ichi Miyazaki, Kazutoshi Mori, Kenji Kohno
    • 学会等名
      Kyeystone Symposia Meeting
    • 発表場所
      Keystone, Colorado, USA
  • [学会発表] 小胞体ストレス応答不全による糖尿病発症機構の解明

    • 著者名/発表者名
      斉藤美知子、土屋雄一、岩脇隆夫、森和俊、河野憲二
    • 学会等名
      第35回日本分子生物学会年会
    • 発表場所
      福岡県福岡市

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公開日: 2014-07-24  

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