研究課題
遺伝子改変技術により作出された免疫疾患モデル動物を含む免疫不全動物は、日和見感染微生物によっても傷害を受けるため、免疫正常動物に比べて厳格なSPF管理が必要になる。本研究では主要な日和見感染症起因微生物であり感染動物の糞便に排出される黄色ブドウ球菌、マウス肝炎ウイルス(MHV)、マウスノロウイルス(MNV)、肺パスツレラを単一の方法で同時に診断を可能にすることを目的として等温遺伝子増幅法であるLAMP法に独自の目視判定法を組み合わせた比色LAMP法の開発を行った。最終年度では肺パスツレラを検出するための比色LAMP法の研究を行った。肺パスツレラにはJawetzとHeylの2つの生物型があり、これらを区別して検出できるPCR法が報告されている。LAMPプライマーはこれらを判別できるように16S rRNA遺伝子を標的として設計し、PCR法によって2型に判別された菌体から抽出したゲノムを用いて評価した結果、100%の精度で2つの生物型に分類することができた。肺パスツレラには多くの近縁種が存在するため、16S rRNA遺伝子配列の相同性の高い近縁種ゲノムの当該領域を合成して比色LAMP法で区別できるか確認した。しかし、肺パスツレラと区別できない近縁種が存在した。本研究は期間内に完了することができず、継続して検討する予定である。本研究ではMHVとMNVをそれぞれ62℃90分の反応で検出する比色RT-LAMP法を完成させて学術誌へ発表した。また、MHVを検出するためのLAMPプライマー配列は特許出願を行った。黄色ブドウ球菌を検出するLAMP法は本研究申請以降開始前に学術誌へ発表しており、本研究対象とした4種の微生物の内、3種を比色LAMP法により検出する方法を確立した。
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J Virol Methods
巻: 204C ページ: 17-24
10.1016/j.jviromet.2014.03.025
http://www7b.biglobe.ne.jp/~civs-imu/Center_for_In_vivo_Science/DLAM.html