研究概要 |
超小型ミニブタであるマイクロミニピッグ(MMPs)について、MHC (主要組織適合抗原遺伝子複合体)固定MMPsの作製を試みている。2012年度は、58頭のMMPsについて、SLAクラスI遺伝子 (SLA-1, SLA-2, SLA-3)について、アリルグループ特異的プライマーセットを用いたPCR-SSP (Sequence specific primer)法による簡易タイピングと、RT-PCR産物の塩基配列解読により、アリルタイプを決定した。この結果、MMPs集団には、SLA-1: 9種類、SLA-2: 8種類、SLA-3: 8種類の4桁レベルのアリルが検出され、新ハプロタイプを含む8種類のSLAクラスIハプロタイプの存在が明らかになった。2011年度に明らかにしたクラスIIハプロタイプの情報と合わせて検討すると、この集団には8種類のクラスI, IIハプロタイプ(Hp-10.11, -16.16, -17.17, -20.18, -35.23, -43.37, -6.7, -New.13)が見出された他、組み換えハプロタイプも検出された。 また、MHC固定MMPsの作出を試みたところ、38.1%と最も出現頻度が高いHp-35.23の他、Hp-17.17, -10.11は、これらのハプロタイプをホモに持つ個体が見出された。Hp-43.37は20.1%と出現頻度が高いにもかかわらず、ホモ個体は検出されていない。今後、他のハプロタイプについてもホモ個体の作出のための交配とタイピングを続行し、リンパ球混合培養反応などによる細胞免疫学的特性のハプロタイプ間の比較解析に用いるホモ個体の種類と頭数を増加させる予定である。 一方、MMPs集団のリンパ球のFACS解析において、抗CD4抗体との反応性が陰性を示す個体が高率に認められ、SLAハプロタイプとの関連性について解析を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
2012年度に明らかになったマイクロミニピッグのSLAクラスI, IIハプロタイプについて、各ハプロタイプをホモに有する個体の作出のための交配と簡易タイピングによる確認を継続して行い、SLAクラスI, IIハプロタイプ固定ブタの作出を目指す。さらに、移植予後の判定に有用な組み換えハプロタイプの存在については、SLA領域内の組み換え部位を明らかにするために、マイクロサテライトマーカーを用いた解析を行う予定である。また、SLA遺伝子の機能と関連する免疫学的特性の解析を進めるために、SLAハプロタイプ固定ブタを用いたリンパ球混合培養反応などを行うとともに、抗CD4抗体と反応性が陰性の個体について、SLAハプロタイプとの関連性やCD4遺伝子の発現と多型性などについて、解析を行う予定である。
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