研究概要 |
超小型ミニブタであるマイクロミニピッグ(MMPs)をMHC (主要組織適合抗原遺伝子複合体)既知の免疫遺伝学的背景の明らかな実験動物として確立するために、MHC (SLA)タイプを解析した。その結果、8種類のクラスI, IIハプロタイプ(Hp-10.11, -16.16, -17.17, -20.18, -35.23, -43.37, -6.7, -31.13)が見出された他、3種類の組み換えハプロタイプも検出された。これら組み換えハプロタイプの組み換え部位は、すべてクラスIII領域内に位置することがSLA領域のマイクロサテライト多型解析により、明らかになった。さらにSLAクラスIタイプについては、次世代シークエンシングにより、3種類の古典的クラスI遺伝子座のアリルタイプが確認された他、非古典的クラスI遺伝子座などについてもアリル配列情報を得ることができた。また、これらのハプロタイプの中で、クラスIIハプロタイプ0.23を保有する個体では、生時と50日齢体重が軽い傾向にあった。SLA固定MMPs系統を確立する上で有用と考えられるホモ個体は、4種類のハプロタイプ(Hp-17.17, -10.11, -16.16, -20.18)について見出された。また、ハプロタイプ間の細胞免疫学的特性の比較解析のためにSLAホモ個体間のリンパ球混合培養反応を行ったところ、Lr-0.11とLr-0.23間では、幼弱化反応が高く、Lr-0.17とLr-0.23間ではそれよりも反応性が低く、クラスIIハプロタイプの組み合わせにより、リンパ球幼弱化に相違があることが示された。一方、MMPs集団のリンパ球のFACS解析において、抗CD4抗体との反応性が陰性を示す個体が高率に認められ、今後この抗体反応性とワクチン抗体産生能などの免疫学的機能との関連性を解析する必要があると考えられた。
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