研究課題
本研究では、希少疾患であるシスチン蓄積症の新たなモデルラットを開発し、簡便で迅速な高感度診断法を開発することを目的とする。最終年度は、昨年度に樹立した新規シスチン蓄積症モデルラット用いて、各組織のシスチン量を定量した。その結果、モデルラットの腎臓、脾臓および精巣において、コントロールと比較して、それぞれ約4倍、約150倍および約300倍のシスチン蓄積が確認された。さらに、シスチン蓄積症の唯一の治療薬であるシステアミンを、モデルラット由来胎児線維芽細胞に添加したところ、顕著にシスチン量が低下した。インスリン分泌不全型糖尿病モデルラットであるLEAラットの原因遺伝子を解析する課程で、LEAラットではヒトシスチン蓄積症の原因遺伝子であるシスチノシン(Ctns)に欠損があることを見いだし、Ctns変異をF344系統に導入したコンジェニック系統を樹立した。さらに、汎用性の高い高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いたシスチン分析の条件検討を行い、HPLCによる高感度分析法を開発した。このモデルラットでは、各組織に顕著にシスチンが蓄積し、シスチン蓄積症に特徴的な腎尿細管上皮細胞の変性・脱落を伴う腎尿細管症が観察された。また、in vitroでの評価系を確立するため、モデルラットの胎児線維芽細胞にシステアミンを添加した結果、顕著にシスチン量が低下した。以上、本研究により、新たなシスチン蓄積症モデルラットおよびHPLCによる高感度分析法が開発され、in vitroおよびin vivoで新たな治療薬の探索が可能となった。
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