研究課題/領域番号 |
23500517
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
早雲 孝信 神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 特務教授 (50595915)
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研究分担者 |
藤田 剛 神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 特命教授 (70546499)
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キーワード | 医用光・熱工学 |
研究概要 |
昨年の中赤外レーザーによるヒト胆石破砕実験、胆管内に挿入できる柔軟性の高い導光系である中空光ファイバー開発のためその伝送効率評価実験、胆石の成分を解析してレーザー照射条件の最適値を導出するためのシステムである胆石分光診断装置の性能評価実験の結果をふまえ、胆石治療用ファイバー部品を胆管内に挿入可能なように小型化を目的とした設計・試作を試み、さらにそれを用いて生体ブタによる実験を行いその有用性を安全性について検討した。 胆石治療用ファイバー部品の設計・試作:ダイヤモンドレンズと赤外レーザー光伝送用中空ファイバー及びダイヤモンドプリズムと赤外レーザー光伝送用中空ファイバーの2種について組み込みを行った。ダイヤモンドレンズは小型化するため外径をφ1.5mmからφ1.28mmにした。ダイヤモンドプリズムはファイバーを設置できる最小幅になるように設計し、その結果、幅2mmから0.85mmに小さくすることができた。 伝送用中空ファイバーについては柔軟性のある高分子製を検討したが、曲げる事に関しては優れているが折損しやすいことが判明し、折損がおこるとレーザーがほとんど通らないためガラス製ファイバーを使用せざるをえなかった。ダイヤモンドレンズ及びプリズムをそれぞれ専用のケースに組込み、各々を中空ファイバー先端部に接着し、かなりの小型化に成功した。 生体ブタによる実験:生体ブタを全身麻酔管理下に開腹し胆管内および胆嚢内で実際に結石に対するレーザー照射実験を行った。通常の状態であれば胆管壁や胆嚢壁への損傷は見られず、安全性が確認できた。ただし水分や粘液を除去した状態で照射した場合には損傷が見られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
個々のパーツにおける有用性は検証され、小型化やファイバーのflexibilityの向上なども進めているが、まだ内視鏡の鉗子口内を通過させるほどには至っておらず、機器の実用化に向けてはまだまだ克服しなければならない技術的な課題が残存している。
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今後の研究の推進方策 |
今までの実積から、赤外波長可変極短パルスレーザー(DFGレーザー)の胆石微粉末化における有用性、レーザーを人体内へ導光する伝送路として中空光ファイバーの実用化、および非侵襲な胆石識別装置としてのATRプリズムの有効性が確かめられ、ある程度の小型化への可能性が示されてきた。今後は、さらにそれを内視鏡の鉗子口を介して胆管内に挿入可能なまでに小型化かつ柔軟性を持たせたものへと改良を行っていく必要がある。
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次年度の研究費の使用計画 |
胆石治療用ファイバー部品つまり、胆石治療用ファイバー部であるダイヤモンドレンズと赤外レーザー光伝送用中空ファイバー及びダイヤモンドプリズムと赤外レーザー光伝送用中空ファイバーの設計・試作およびそれを胆管内に挿入可能なように小型化を行っていくために必要な各種消耗品の購入に使用する。また、これらの器具を用いた生体ブタによる実験を行う予定であるが、本学の動物実験施設では、生体ブタの使用や麻酔管理、継続的な実験を実施することは不可能であるため、外部施設において行う予定である。その際、内視鏡ディバイス購入のための設備備品費、各種消耗品費、生体ブタ飼育管理費、施設機材使用料として動物実験施設使用料を捻出する予定である。また、研究をスムーズに進めるための情報収集のため、学会参加や他施設との打ち合わせを行う際には、本研究費よりその費用を捻出する予定である。
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