本研究は近紫外線殺菌(UVA)の機序の波長ごとの違いについて,遺伝子発現量の観点から基礎的な知見を得ることを目的とするものである.腸炎ビブリオを照射対象とし,キセノンランプ光源を用いて5種の波長のUVAをそれぞれ照射し遺伝子発現比を比較した.その結果,(1)鞭毛集合を構成する遺伝子の一部で発現比の変化が見られ,特に365nmで顕著であった.(2)ヒスチジン代謝関連の遺伝子が発現比の変化が見られ,特に340nmで顕著であった.(1)より365nmのUVが腸炎ビブリオの遊走機能や鞭毛数に影響する可能性が示唆され,(2)から340nmのUVでヒスチジンの産生に影響する可能性が示唆された.
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