固形腫瘍組織の内部には酸素不足領域(低酸素微小環境)が形成され、これは腫瘍の悪性度を決定する重要な要素である。本研究では直径数ナノメートルという極めて小さな半導体粒子(量子ドット、以下QD)を低酸素細胞の光学プローブとして利用できるかについて基礎的な検討を行った。新しく合成したシステイン被覆QDを培養細胞に導入し、細胞周囲の酸素濃度変化に応じてQDの蛍光強度が変化する事を確認した。一方で、細胞内に導入したQDの蛍光強度が低い事、蛍光観察に伴う蛍光強度の低下(褪色)が著しいこと等、QDを用いた細胞レベルの酸素イメージングに対する問題点も明らかとなった。
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