本研究は、これまでに本研究室によって開発した細胞活動相関性を強調した内因性光学的計測システムを視覚連合野に適応し、観察角度によらない物体認識に関わる視覚連合野皮質の関わりを明らかにすることによって、視覚連合野皮質における相関性を強調した内因性光学的計測システムによる実験法の確立を目的とするものである。システムの実用性をもたらすために、本研究は、視覚連合野の最も重要な機能である物体認識の神経基盤を調べることを通して、開発したシステムを用いたときの実用的な実験法を確立することを目指した。本研究においては、視覚連合野機能研究に細胞活動相関性を強調した内因性光学的計測システムを適応するために、1.刺激画像の選択に関するルールづくり;2.繰り返し記録できる慢性実験に適した実験的手法を確立した。具体的に、a.慢性実験に対応できる実験方法を確立した。実験に視覚機能の研究に広く使われる日本ザルを用いた。記録チャンバーの固定法や手術の方法は反応の経時的変化や再現性の検討を通して、繰り返し記録できるような慢性実験に対応する実験方法を確立した。b.測定に用いる刺激画像の選択に関するルールづくりを確立した。反応する細胞の相関関係に関する議論を有意義にするために、測定に用いる刺激画像を選択する方法は重要である。刺激選択性及び細胞の受容野を考慮した適切な刺激画像の選択において、その方法を確立した。c.計測・分析システム動作の再確認・再検討を行った。使用したシステムは視覚連合野の実験を考慮して本研究室によって開発されたものであるが、実際の実験デザインと刺激セットによってシステムの計測部分及び分析部分の動作確認が必要である。本研究によっては、システムの動作範囲を実験デザインや刺激セットの構築によって再評価した。
|