研究課題/領域番号 |
23500523
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研究機関 | 前橋工科大学 |
研究代表者 |
野村 保友 前橋工科大学, 工学部, 教授 (80237883)
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キーワード | 画像相関分析 |
研究概要 |
本学新実験棟竣工に伴い、平成24年度から細胞培養実習室が実際に運用可能になった。各種機材の性能チェック後、コンタミネーションがないことを確認した。それを受けて当該課題に必要な細胞培養を開始した。エネルギー需要(ATP要求量)の異なる細胞、腎臓由来の株化細胞(HEK293)および副腎髄質交感神経由来の株化細胞(PC-12)の培養を行った。ATP産生の本体であるミトコンドリアおよびミトコンドリアDNA(mtDNA)の動的特性を評価を進めた。HEK293については前任地の山形大医学部で取得した画像データの相関分析結果とほぼ同等のものが得られた。PC-12については接着性が弱かったので、懸濁培養による細胞分裂を行わせることとした。懸濁培養ではmtDNAが深さ方向に重なりが多く、動的特性の解析には適していないと判断された。接着培養するにはディッシュ底面をコラーゲンコートする必要があった。濃度や処理時間などコーディングの至適条件を決定した。最適な接着条件でPC-12のmtDNAの動的特性を動画像を取得し健闘した。mtDNAの重なりの問題は完全には解決できなかったので、神経突起を伸展させることとした。そのために神経成長因子NGFを用い、最適な処理条件を決定した。微細な神経突起内のmtDNAが突起の軸方向に移動している様子が確認できた。突起の接着が弱く、突起ごと培養液とともに揺れているmtDNAも少なくなく、さらなる工夫が必要と思われた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新実験棟の竣工が遅れたため前年度は計画よりやや遅れていたが、今年度はそれを取り戻し、交付申請書に述べた内容の研究をほぼ行えたと思われる。
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今後の研究の推進方策 |
接着の強い神経突起内のmtDNAだけの動画像を取得し、接着の弱い神経突起を観察領域から外すために取得した動画像から任意の領域を切り出すプログラムを検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
脱共役剤や特異的なミトコンドリア機能阻害剤を与えて、mtDNAの動的特性に与える影響を検討したい。合わせて神経活動を亢進させた場合の影響も検討したい。この場合、神経活動を細胞内カルシウム濃度などからモニターしたい。
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