研究課題/領域番号 |
23500526
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
原田 義規 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10381956)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | バイオイメージング / 腫瘍 / 消化管 / 蛍光 |
研究概要 |
生体には数種類の自家蛍光物質が内在しており、これらを利用することにより腫瘍を検出できる可能性がある。本研究においては、大腸腫瘍の自家蛍光特性を検討し、nicotinamide adenine dinucleotide(NADH)蛍光に着目した腫瘍イメージングを行う。また、in vitroあるいはin vivo(ラット)において同方法における低酸素負荷の影響について検討する。腫瘍はその発生初期から微小血行動態の欠陥等により恒常的に低酸素状態にあるといわれている(J Bull Cancer 2006;93:E73-80)。また、自家蛍光物質であるNADHは細胞の代謝状態に関連して蛍光強度が変化し、細胞が低酸素状態に陥るとNADHによる蛍光強度は上昇することが知られている(Science 1982;217:537-40)。今回、大腸正常組織における自家蛍光の局在・スペクトルを検討した。また、大腸腫瘤切除検体における自家蛍光の分光画像を取得し、正常部と病変部における自家蛍光の差異を検討した。生体組織は種々の自家蛍光物質が様々な濃度で多層構造を示しながら存在するため、切断面および粘膜面についてそれぞれ観察・検討した。NADH蛍光波長イメージおよび参照蛍光イメージを取得後、レシオ画像を作成することにより、NADH蛍光観察に着目した腫瘍イメージングが可能であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は、大腸腫瘍の自家蛍光特性を検討し、NADH蛍光観察に着目した腫瘍イメージング法を開発することである。大腸正常組織における自家蛍光の局在・スペクトルを検討し、大腸腫瘤切除検体における腫瘍イメージングを行っており、おおむね順調に発展していると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
今後、低酸素負荷ラットあるいは培養細胞株を用いて蛍光シグナル強度への低酸素負荷の影響を検討する。また、大腸腫瘍は腺癌のみならず前がん病変である腺腫においても低酸素状態にあることが病理組織研究などにより示唆されているが(BMC Cancer 2008;8:320, Opt Express 2009;17: 2805-17)、Hypoxia-inducible factor 1 alpha、von Hippel-Lindau protein、CAIXなどのhypoxia-associated endogenous markersの発現と蛍光画像シグナル強度との関連について追加検討する。また、感度、特異度、正診率の一層の向上のため、画像解析アルゴリズムなど解析方法の改善等を加えていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度の研究費の使用計画としては、光学部品や抗体などの購入、実験動物のためのラットの購入、学会発表のための出張費などを予定している。
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