研究課題/領域番号 |
23500526
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
原田 義規 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (10381956)
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キーワード | バイオイメージング / 腫瘍 / 消化管 / 蛍光 |
研究概要 |
内視鏡は消化管腫瘍の早期診断に必須であるが、その検出感度には限界がある。それを補うものとして自家蛍光内視鏡が使われるが、現在使われている自家蛍光内視鏡は、粘膜下層コラーゲンの自家蛍光を利用することにより間接的に腫瘍を検出している。そのため、偽陽性例も見られ、誤検出を減らすことは自家蛍光内視鏡の一つの課題である。消化管粘膜はnicotinamide adenine dinucleotide(NADH)などの自家蛍光物質を含有しており、それらをうまく利用することにより腫瘍を直接検出できる可能性がある。本研究においては、大腸腫瘍の自家蛍光特性を検討し、NADH蛍光に着目した腫瘍イメージングを行う。腫瘍はその発生初期から微小血行動態の欠陥等により恒常的に低酸素状態にあるといわれる(J Bull Cancer 2006;93:E73-80)。また、自家蛍光物質であるNADHは細胞の代謝状態に関連して蛍光強度が変化し、細胞が低酸素状態に陥るとNADHによる蛍光強度は上昇することが知られる(Science 1982;217:537-40)。今年度は前年度に引き続き、大腸腫瘍検体における自家蛍光の分光画像を取得し、正常部と病変部における自家蛍光の差異を検討した。NADH蛍光波長イメージおよび参照蛍光イメージを取得後、レシオ画像を作成することにより、NADH蛍光観察に着目した大腸腫瘍イメージングが可能であり、詳細な条件検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は、大腸腫瘍の自家蛍光特性を検討し、NADH蛍光観察に着目した腫瘍イメージング法を開発することである。研究をより深化させるため、ラット大腸腫瘍検体を用いたイメージングを継続しており、おおむね順調に発展していると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
現在、学会での発表と、論文投稿の準備を行っている。必要に応じて、画像解析アルゴリズムなど解析方法の改善や追加実験を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度の研究費の使用計画としては、光学部品や実験動物のためのラットの購入、学会発表のための出張費などを予定している。
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