研究課題/領域番号 |
23500527
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研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
水野 由子(松本由子) 兵庫県立大学, 応用情報科学研究科, 教授 (80331693)
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研究分担者 |
西村 治彦 兵庫県立大学, 応用情報科学研究科, 教授 (40218201)
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キーワード | 脳波 / 脈波 / 脳機能 / 自律神経 / 非定常解析 / 非線形解析 / 情動 / fMRI |
研究概要 |
本研究では、「多次元生体信号処理による若年者の情動安定性に関連した脳・自律神経機能の定量評価」を行うことを目的とする。具体的には、情動安定性に関連した生体反応について、脳機能評価として脳波とfMRI、自律神経機能評価として心電図と脈波を用いることで、次の4点を調べる。第1に、「情動ストレス負荷による脳機能の時間的活動変化」を調べる。第2に、「情動ストレス時の脳機能の空間的反応領域」を調べる。第3に、「情動ストレス状態における末梢神経機能の変化」を調べる。第4に、これらの「情動に 関連した中枢から抹消までの生体反応の多次元的相互影響性を統合的に抽出」する。 平成24年度には、(1)開発した脳機能データの時間的空間的変化を捉える非定常解析ソフトウェアの動作確認、(2)開発した自律神経機能データのゆらぎを捉える非線形解析ソフトウェアの動作確認、(3)情動刺激タスク下での脳機能・自律神経機能測定を行った。具体的には次の通りである。脳機能活動の経時変化を調べるために、脳波を用いた。脳波による脳機能活動の時間変化および部位間の関連性や情報伝播を調べるために、ウェーブレット解析およびコヒーレンス解析を用いて、頭皮上脳波用解析ソフトウェアを用いた。自律神経機能を捉えるために、心電図、指尖容積脈波を用いた。心臓の拍動はゆらぎを有し、心拍変動の周波数解析により交感神経・副交感神経機能を評価することが可能である。脈波の最大振幅値変化を評価する非線形解析ソフトウェアを用いた。視聴覚刺激を用いた快刺激と不快刺激を含む実験デザインを基に、生理学的測定を行った。本研究の意義は、従来「心の問題」とされてきた若年者の情動不安定に関して、本人の意識下にある問題点を、脳・自律神経機能変化の観点から、客観的に明らかにすることを可能とすることである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、解析手法の開発、ソフトウェアの動作確認、実験デザインに基づいた生理データの収集を遂行している。
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今後の研究の推進方策 |
次年度においては、これまでに開発した解析ソフトウェアを用いて、生理データを解析し、情動ストレス状態における脳機能活動領域の特定を行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度は、臨床神経生理学会学術大会で、これまでの研究成果を発表すると同時に、今後の研究を進める上での情報収集を行う。 繰り越し額は、80,000円である。繰り越し理由は、結果表示のための可視化プログラム開発に必要なソフトウェア購入を、次年度に変更したためである。 平成25年度の予算使用計画は、学会での発表および情報収集のための旅費、データ整理のための賃金、プログラム開発のためのソフトウェア購入などが主となる予定である。
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