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2012 年度 実施状況報告書

操作を伴う3次元映像における生体への悪影響の定量的解析に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 23500528
研究機関埼玉医科大学

研究代表者

小林 直樹  埼玉医科大学, 保健医療学部, 教授 (40523634)

キーワード生体情報・計測 / 3次元映像 / インタラクティブ映像
研究概要

本研究はゲーム等の操作を伴う場合における3次元映像特有の生体影響について、視聴者の動作や操作に着目し、映像酔いや眼精疲労等の悪影響との関連を、生体信号により客観評価するとともに、悪影響を低減して安全性を高める技術を明らかにすることを目指している。本研究では大局的映像の動き(Global Motion Vector:GMV)に加えて3次元の動きを加えた拡張GMVおよび操作者想定との不一致度を加えた実効GMV用いた評価法を提案している.
昨年度は本研究の評価指標して必要な多変量解析を用いた評価モデルの構築、検証を行ってきた.今年度はその成果を生体医工学シンポジウム(9月)に発表するとともに、原著論文として投稿した(25年度5月採録予定).また、予備実験においては、操作者の実効GMVに寄与する要素として、視線の影響を検討し、画面ひずみと視線位置との関係が実効GMVに影響することを示し、日本生体医工学会総会(5月)にて発表を行った.
本年度は、実効GMVの構成要素としてインタラクティブ操作時の重心移動、操作装置が映像酔いに与える影響について検討を進めた.具体的には、従来の心電図R-R間隔変動(LF/HF)および呼吸信号から求める自律神経系生体指標に加え、操作時の重心移動を評価指標として加え、GMVと重心移動の相関の強さと、映像酔いの主観評価や生体指標との関係を実験的に求めた.加えて、操作装置(ゲームパッド型装置およびハンドル型装置)による影響も検証した.この結果、通常のユーザがハンドル型装置による操作において、GMVと重心移動の相互相関関数の最大値が主観評価値と強い負の相関があることが示され、拡張GMVの要素として有効であるとの結果が得られた.
また、視線計測系(23年度)と重心移動計測系(24年度)および自律神経系指標を融合した統合検証に向けて検証実験系の整備を進めた.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

今年度は、昨年度行った予備実験の結果浮かびあがった2つの課題 ①重心動揺を検知による実効GMVの精度向上、②自律神経系生体指標および実行GMVを統合した評価指標の構築および本格検証準備 以上の2点について推進した.
①重心動揺を要素とした実行GMVの精度向上については、10名以上の被験者を用いた実験検証により、有効なパラメータおよび被験者の慣れなどの個人差に結び付く特性、操作装置による影響差など、精度よく測定するために必要な点を明らかにし、本格実験に向けた基礎データの洗い出しを行うことができた.
②生体信号と重心動揺および視線を用いた実効GMVを用いた統合指標について、昨年度および今年度①の結果を受けて得られたパラメータをもとに、その評価値の算出方式を再構築を行った.具体的には、重心動揺の要素と生体信号の統合に関しては、多変量解析の手法を導入することとした.また、視線に関しては、3Dの拡張GMVおよびひずみパラメータの導入することとした。
3次元映像としての拡張GMVに関しては、参画している「快適3D基盤研究推進委員会」からの奥行算出ソフトの利用して作成可能であり、以上から、ほぼ、当初の予定通り研究は進んでいる.

今後の研究の推進方策

今年度は、昨年度課題として明らかとなった実効GMVの指標作成に必要な重心動揺のパラメータおよびその適応条件を明確にすることができた.また、視線の影響についても昨年度の検討により、映像上の動きやひずみとの連動が有効であることが示された.
一方、現在、3次元の奥行き方向の計測を考慮した拡張GMVの導出においては、「快適3D基盤研究推進委員会」の検討状況がやや遅れていることから、奥行き算出ソフトの導入がやや遅れてはいるものの、今年度早々に入手可能である.
以上のことから、25年度は早急に上記ソフトをもととした、拡張GMVの計算ソフトを構築し、本格検証実験および評価を行ってゆく.本格検証にあたっては、実験環境条件および被験者の特性条件(ゲームの慣れなど)およびプロトコルなどを厳密に規定したのち、効率よく行う準備を行うとともに、迅速な解析を行う.
同時に、今年度まで行ってきた検討結果も含め、研究結果を成果として国内外の学会に発表するとともに論文として成果を発表する.

次年度の研究費の使用計画

今後の研究の推進方策に基づき、次年度においては本格検証とその成果発表に重点をおいて経費を使用する.本格検証実験では、基本的な検証ツールは今年度までに整備した装置、解析ソフトを利用することで対処する.このため、主に、被験者の生体信号取得に必要な電極類およびセキュリティ機能を備えた取得データ蓄積装置など直接検証データに関わる消耗品の購入経費を使う予定である.さらに、被験者への謝金の支払にも経費を使用する予定である.
また、今年度および来年度の成果を対外的に広く知ってもらうために、国際会議での発表および国内の学術会議での発表および連携研究者とのミーティングを行うため、旅費などの必要な経費を使用する予定である.

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2012

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] 2-3-02 インタラクティブ映像における多変量生体信号を用いた映像酔いの定量化2012

    • 著者名/発表者名
      小林直樹
    • 学会等名
      生体医工学シンポジウム2012
    • 発表場所
      大阪大学基礎工学部(大阪府豊中市)
    • 年月日
      20120907-20120908
  • [学会発表] O1-11-5 左右ひずみを有するステレオ映像における視線と生体影響に関する検討2012

    • 著者名/発表者名
      小林直樹
    • 学会等名
      第51回日本生体医工学会大会
    • 発表場所
      福岡国際会議場(福岡県福岡市)
    • 年月日
      20120510-20120512

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公開日: 2014-07-24  

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