研究課題/領域番号 |
23500531
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研究機関 | 藤田保健衛生大学 |
研究代表者 |
北口 暢哉 藤田保健衛生大学, 医療科学部, 教授 (70508077)
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研究分担者 |
川口 和紀 藤田保健衛生大学, 医療科学部, 講師 (00508468)
中井 滋 藤田保健衛生大学, 医療科学部, 教授 (20345896)
伊藤 信二 藤田保健衛生大学, 医学部, 准教授 (40572079)
加藤 政雄 藤田保健衛生大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (50599537)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | アルツハイマー病 / Aβ / 血液浄化 / 脳変化 / アミロイドβ蛋白 / 血液透析 / Aβ除去 |
研究概要 |
1.透析導入前後の前向き研究のための準備 : 透析導入施設を2施設、導入後のフォロー施設を7透析施設選定し、本学倫理委員会の承認を得た。また、Aβイメージング(PIB/PET)測定施設として、国立長寿医療センター(伊藤健吾放射線診療部長)の参加を得、長寿研倫理委員会承認も得た。2.対象患者の募集: 数か月後に透析導入予定の、50-75歳の非糖尿病腎不全患者を基準として募集を行い、知多市民病院および藤田保健衛生大学病院の透析導入直前(腕にシャント構築済み)腎不全患者2例の同意を得た。 3.対象患者の血中Aβ濃度および認知機能(MMSE): 1)症例1:クレアチンが上昇して本年度中に透析導入に至った。血中Aβ1-40、Aβ1-42濃度は、導入前は1595pg/ml, 125pg/mlと健常人の6倍以上の高値を示したが、導入40日後で、各々1101, 96と低下した。MMSEは、導入4か月前は29点、5日前は27点と低下したが、導入40日後では30点と満点を示した。脳MRIでの解析では海馬の萎縮などは見られず、神経学的判断は正常とされた。 2)症例2:現在、非透析で、クレアチンは6.1mg/ml、β2ミクログロブリンは15.8mg/dlであり、血中Aβ1-40、Aβ1-42濃度は、861pg/ml, 101pg/mlとやはり高値であった。MMSEは29点であった。 いずれの症例も認知機能が正常に近いため、脳Aβイメージング測定には至っていない。4.脳病理からの横断的解析: 上記の前向き研究と並行して、透析による血中Aβ除去が脳Aβにどう影響するかを、透析患者および非透析者の剖検脳を用いて解析することとした。まず、アルツハイマー病脳切片を入手し、2種の抗Aβ抗体で染色し、沈着Aβが明瞭に描出される手技を持つ事を確認した。また、医学部保管脳について、透析歴有無の検索を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1.他施設の共同研究体制が構築できた。2.対象患者のエントリーを2例得て、血中Aβ濃度、認知機能、MRIなどの測定を開始した。3.前向き研究と並行して、透析患者および非透析者の剖検脳を用いた解析を開始し、透析による血中Aβ除去が脳Aβにどう影響するかを脳病理の面からも明らかにできる可能性が出てきた。そのための共同研究体制を構築しつつある。
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今後の研究の推進方策 |
1.透析導入前の患者リクルートを促進する。透析導入という大きな衝撃を受けている患者様が本研究に協力していただける説明資料の作成と、担当医師への働きかけを行う。2.軽度認知障害腎不全患者の同意が得られれば、脳Aβイメージング(PIB/PET)を積極的に行う。3.現在同意いただいている患者のフォローを継続して、データを蓄積する。4.医学部実習のご献体脳、病理解剖脳検体について、書類上の検索を行い、対象となる透析脳、非透析脳をピックアップする。
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次年度の研究費の使用計画 |
1.血中Aβ濃度、ApoE, Aβオリゴマーなどの測定試薬費。SRLなどへの測定委託費。2.血液採取、保管などのためのディスポ製品、脳病理解析試薬などの購入費。3.PIB/PET等の脳画像診断測定費用4.協力いただく患者様への謝金および患者交通費負担。5.海外を含めた学会発表とそれに対する意見の収集、および、本研究に関わる最新情報入手と研究打合せ(旅費、学会参加費等)。
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