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2011 年度 実施状況報告書

内皮細胞層中の白血球浸潤部位に関するバイオメカニクス的検討

研究課題

研究課題/領域番号 23500535
研究機関川崎医療福祉大学

研究代表者

片岡 則之  川崎医療福祉大学, 医療技術学部, 准教授 (20250681)

研究分担者 梶谷 文彦  川崎医療福祉大学, 医療技術学部, 教授 (70029114)
研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワード細胞工学 / 内皮細胞 / 動脈硬化
研究概要

白血球の内皮細胞への接着・浸潤は、炎症を起こした血管部位で生ずる生体防御機構の1つであり、接着タンパクを中心にそのプロセスは良く研究されている。しかしながら、白血球の浸潤メカニズムについては、その経路、詳細な部位など、不明な点が多い。本研究では、1) 単球は内皮細胞上を遊走する際、内皮細胞の力学特性、すなわち「硬さ」を感知し、2) あるいは、内皮細胞の基質への接着が弱い部位を感知して部位選択的に浸潤する、という作業仮説のもと、内皮細胞を局所的に軟化、あるいは基質との接着性を低下させる部位を作成し、単球の浸潤ダイナミクスを観察する。以上の実験方法で、バイオメカニクス的、かつ微視的な視点での白血球浸潤部位の特定を目指す。 初年度は、内皮細胞のメカニクスに直接関与する、細胞内構成要素であるアクチンフィラメントの生細胞中の観察手法の確立と、内皮細胞間接着タンパクであり、単球にも発現しているPECAM-1の働きについて検討した。生細胞中のアクチン観察は、新規アクチン結合ペプチドであるLifeactとGFPの融合タンパクを発現するベクターを用い、内皮細胞に遺伝子導入を行って観察を試みた。遺伝子導入を行った半数近くの内皮細胞でファイバー状のアクチンが観察された。生細胞中のPECAM-1観察は、GFPあるいはDsRedとの融合タンパクを発現するベクターを作成し、単球の浸潤時のPECAM-1ダイナミクスを観察した。その結果、単球の浸潤に関して、内皮細胞間の浸潤ではPECAM-1が単球のPECAM-1とhomophilicに接着して、浸潤を促進する。内皮細胞本体を貫通する経路では、内皮細胞辺縁部ではPECAM-1が単球浸潤部位に集積するが、内皮細胞の中心部を浸潤する場合は単球浸潤部位にPECAM-1が集積しないことが分かった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

現在のところ、本研究は当初目的に対しておおむね順調に進展している。当初目的である生きた内皮細胞中でのアクチン観察法は確立した。ただ、内皮細胞のアクチン構造と細胞力学特性の関連まで検討予定であったが、未達成におわった。これは、震災復興の関係から、研究費の30%カットの可能性が示唆され、一部、研究費の執行を思いとどまる、あるいは延期する事態が生じたことが原因の1つである。その影響は年度末までおよび、若干の研究費の繰り越しにつながった。

今後の研究の推進方策

本年度は、昨年度確立した生細胞中でのアクチン観察の手法と、本研究者がすでに確立している原子間力顕微鏡を用いた生細胞の力学特性計測を組み合わせ、内皮細胞のアクチン構造と力学特性の関連について詳細に検討する。いっぽう、培養した内皮細胞層の一部に局所的にアクチン破壊を生じさせる系を確立する。アクチンの一部破壊には、サイトカラシン等を用いる予定である。そこへ単球を添加し、浸潤状態を経時的に観察する計画である。

次年度の研究費の使用計画

昨年度、研究費に残が生じ、次年度使用額が発生したのは、一時期、研究費の30%カットの可能性が示唆されたことが大きな要因である。その後、当初配分額の全額の配分が決定されたが、しばらく研究の遂行を停止、あるいは遅延をよぎなくされた。その影響は年度末まで響いた。本年度は、昨年度分残金の適切な執行を含め、やや遅延した研究をより迅速に遂行する予定である。基本的な研究計画に変更はない。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2012

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] Live-cell visualization of the trans-cellular mode of monocyte transmigration across the vascular endothelium, and its relationship with endothelial PECAM-12012

    • 著者名/発表者名
      Ken Hashimoto, Noriyuki Kataoka, Emi Nakamura, Kimiko Hagihara, Takeaki Okamoto, Hiroaki Kanouchi, Satoshi Mohri, Katsuhiko Tsujioka, Fumihiko Kajiya
    • 雑誌名

      The Journal of Physiological Sciences

      巻: 62 ページ: 63-69

    • DOI

      10.1007/s12576-011-0181-8

    • 査読あり

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公開日: 2013-07-10  

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