研究課題/領域番号 |
23500535
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研究機関 | 川崎医療福祉大学 |
研究代表者 |
片岡 則之 川崎医療福祉大学, 医療技術学部, 准教授 (20250681)
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研究分担者 |
梶谷 文彦 川崎医療福祉大学, 医療技術学部, 教授 (70029114)
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キーワード | 単球浸潤 / 内皮細胞 / 細胞メカニクス / アクチンフィラメント |
研究概要 |
内皮細胞を一層に培養し、局所的にアクチンフィラメントの破壊を行って、その部位周辺の単球浸潤を観察することによって「単球は内皮細胞の力学的状態を感知して浸潤する。とくに、力学的に脆弱な部位を感知して浸潤する。」という仮説を検証することを試みた。内皮細胞のアクチンフィラメントの可視化には、アクチン結合ペプチドであるLifeactとGFPの融合ベクターを用いて成功しているが、局所的にアクチンフィラメントを破壊することには成功していない。サイトカラシンDをマイクロシリンジを用いて投与して破壊を試みたが、なお、投与量などの検討が必要であった。いっぽう、メラノーマ細胞(悪性黒色腫)の浸潤を誘因する物質s100タンパクを産生する細胞株を岡山大学医歯薬学研究科細胞生物学教室の阪口准教授から提供を受けた。s100タンパクは、メラノーマ細胞を誘因するとともに、内皮細胞に直接影響を及ぼすと考えらるので、この細胞株と内皮細胞の共培養系の確立を試みている。ところで、単球の内皮下浸潤時に重要な役割を担っている、内皮細胞間接着タンパクの1つである、PECAM-1とアクチンの同時観察も試みた。同時観察の一応の成功はおさめているが、まだタンパクの発現効率が低いため、遺伝子導入方法を検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
培養内皮細胞層に、局所的に力学的脆弱性を作成することに難航している。当初計画では、アクチンを可視化した内皮細胞に、微量のサイトカラシンDを投与する計画であったが、投与方法にさらなる検討が必要であった。しかしながら、現在はS100タンパク産生細胞を用いる方法を計画しており、最終的な仮説の検証は実行可能と考えている。
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今後の研究の推進方策 |
メラノーマ細胞(悪性黒色腫)の浸潤を誘因する物質s100タンパクを産生する細胞株を岡山大学医歯薬学研究科細胞生物学教室の阪口准教授から提供を受けており、この細胞株と内皮細胞の共培養系の確立を目指す。また、s100タンパクが内皮細胞に及ぼす影響を、「原子間力顕微鏡を用いた細胞の力学特性解析」、「電気インピーダンス計測法を用いた細胞間隙計測」の2つの方法から検証する。そのうえで、内皮細胞の力学的脆弱性を局所的に作成し、その周辺での単球浸潤現象を観察する。また、内皮細胞間接着タンパクの1つである、PECAM-1とアクチンの同時観察を、遺伝子導入方法の改善から実現する計画である。以上の実験から、「単球は内皮細胞の力学的状態を感知して浸潤する。とくに、力学的に脆弱な部位を感知して浸潤する。」という仮説を検証する。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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