キトサン溶液を無水酢酸でアセチル化することで、キチンゲルを作製した。塩基性の細胞増殖因子は、キチンゲルに残存するアミノ基を残した場合、結合せず、ヨード酢酸でカルボキシメチル化すると、強く結合した。また、キチン結合ドメイン融合FGF2は特異的に結合し、緩衝液にはほとんど溶出しなかった。キチンを分解するリゾチームによって、キチン結合ドメイン融合FGF2は徐放された。キチンの分解に伴ってゲル外に放出されたのであるが、ゲルの成分の徐放と異なるパターンで徐放されていることから、放出された後に、再結合が起こっていると考察された。結果的に、初期バーストのない理想的な徐放システムが得られた。
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