研究課題
ホウ素(10B)原子核と減速した熱中性子の反応によって出てくるα線とLi原子核をがん細胞に当て、破壊することを目的としたホウ素中性子捕捉療法(BNCT)を確立し普及するためには、ホウ素キャリアのがん細胞選択的そして高効率デリバリーシステムが必要不可欠である。我々はこれまで遺伝子デリバリーに関する基礎的研究過程で安全かつ高効率で外部遺伝子を細胞核に送達するシステム開発のための知見を蓄積してきて来た。本計画ではホウ素クラスター化合物の細胞内局在制御を行い、ホウ素原子の細胞内動態と中性子捕捉反応による細胞障害性との相関を検討することで、より効率的なBNCTのためのホウ素デリバリーシステムの構築を目指す。メラノーマは進行すると治療が非常に難しいがんでありホウ素中性子捕捉療法(BNCT)に大きな期待が寄せられている。本研究では、メラノーマ細胞への選択性を付与するためにコウジ酸構造を導入したホウ素クラスター化合物(CKA)のメラノーマBNCT用薬剤としての評価をin vitro および in vivo にて行った。CKAはコウジ酸構造の寄与でメラノーマ選択的に取り込まれ、細胞内において核局在性を示した。メラノーマ担がんマウスにCKA/HP-β-CD複合体を腹腔内投与したところ、1時間後に高い腫瘍集積性を示した。実際に担がんマウスに投与1時間後に中性子照射を行ったところ、p-Boronophenylalanineと同等もしくはそれ以上の延命効果が見出された。
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