研究課題/領域番号 |
23500551
|
研究機関 | 獨協医科大学 |
研究代表者 |
内山 智之 獨協医科大学, 医学部, 准教授 (70345015)
|
研究分担者 |
山本 達也 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (50375755)
柴田 千晴 獨協医科大学, 医学部, その他 (40533344)
柳澤 充 千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (70436393)
|
キーワード | 過活動膀胱 / 間質性膀胱炎 / 尿意切迫感 / 低反応レベルレーザー / 治療 |
研究概要 |
高齢者社会において今後増加しうる過活動膀胱(尿意切迫感、頻尿、尿失禁)対策、また難治性の間質性膀胱炎(膀胱痛)対策として、従来法とは作用機序の異なる新しい治療法の開発が急務である。我々はこれまで、腰・仙髄神経根への低反応レベルのレーザー照射が、過活動膀胱または間質性膀胱炎の機序のひとつである膀胱感覚の異常を是正し、過活動膀胱および間質性膀胱炎を特異的かつ安全に改善しうる可能性を、各モデル動物を用いた基礎実験で示しえた。同時にNIRS(近赤外線分光法)を用いた過活動膀胱および間質性膀胱炎の中枢神経レベルでの病態または異常反応を非侵襲的かつ簡便に評価しうる方法を見出した。今回、ヒトへの臨床応用を試み、腰・仙髄神経根への経皮的低反応レベルレーザー照射が過活動膀胱や間質性膀胱炎の安全かつ新しい治療法となるかについて、従来の排尿機能検査に加え、NIRSを用いた新規手法によって、機能および病態の両側面から検討を行っている。 今年度は、新天地において、これまでの基礎研究の結果と従来の疼痛に対する低反応レベルレーザー療法の知見をもとに、病院内の倫理/治験審査委員会の承認を得た上で、研究の目的に対して理解・同意の得られた(健常ボランティア、)過活動膀胱患者、間質性膀胱炎患者を対象に、両側仙骨孔(仙髄神経根)への経皮的低反応レベルレーザー照射療法の安全性と有効性、効果の持続性、さらには照射条件の探索的検討を、自主臨床研究の形式で開始すべく、準備および整備を行った。 自主臨床試験の承認が下り、研究を行う体制が整ったが、正式に試験にエントリーできた症例がなく、結果が出せていない。ただし昨年度プレリミナリーな検討を行った2症例では、ヒトでも、仙骨部への単回照射により、蓄尿症状の改善を認めるという結果 が得られている。このことは今後の研究結果に期待の持てる結果と考えている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
両側仙骨孔(仙髄神経根)への経皮的低反応レベルレーザー照射療法の安全性と有効性、効果の持続性、さらには照射条件の探索的検討を、自主臨床研究の形式で行う体制は整えたが、エントリーできる症例に恵まれず、データーを出すまでには到達できていない。
|
今後の研究の推進方策 |
本年度は、遅れを取り戻すべく、症例を集めるべく努力を行う。 レーザーの照射器には、基礎研究で使用したものと同じミナト医科学製のもののほか、より深層部への照射が可能とされるパナソニック製のものの2つを用いて、比較・検討する。照射部位は、両側の仙骨孔とし、照射条件は、はじめは単回照射とし、主に安全性および量的(用量反応性の)検討を行う。次に複数回照射とする。なお照射部位や条件は、基礎研究で安全性が確認され、かつ既に臨床の場で慢性疼痛の治療に用いられている範囲を逸脱しないものとする。 有効性および効果の持続性の評価は、照射前後で、排尿症状、QOLスコアー、排尿日誌および排尿機能検査で行い、さらに病態是正効果の評価を、NIRSを用いた新規評価システムで行う。安全性の評価は、照射前後で、有害事象の有無のほか、一般身体所見(特に腹部、照射部位の皮膚・骨)、神経学的所見(特に会陰部、下肢)、下肢の末梢神経伝導検査、夜間陰茎膨張度・硬度測定(オプション)、月経周期・体温表(女性)、排便記録、血液検査上での内分泌機能などの変化を観察し、行う。 照射、症例ごとに結果を吟味し、毎回、継続可能かどうかの評価を慎重に行いながら、進めていく。その上で、臨床研究のデータを積み重ね、ヒトの過活動膀胱、間質性膀胱炎に対する低反応レベルレーザー照射療法の有用性、安全性、効果の持続性、照射条件、病態是正効果などを検討する。
|
次年度の研究費の使用計画 |
計画の遅れから生じた残金を、購入予定であった機器および諸費用にあて、また当初の計画同様、研究の維持、継続に費用を当てる予定である。
|