研究課題/領域番号 |
23500552
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
菅 幹生 千葉大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (00294281)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 生物・生体工学 / 医療・福祉 / 弾性計測 / MRI |
研究概要 |
MRI (magnetic resonance imaging) により組織弾性情報を定量的かつ非侵襲的に得られるMRエラストグラフィ (MR elastography, MRE) は,新しい画像診断法として注目されている.しかし,MRE撮像にはMRIと同期して対象内に弾性波を発生させる外部加振システムを別途用意する必要があり,その取扱いが煩雑で,撮像部位によっては適用が困難であることが普及の障壁となっている.一方,MRIは強い静磁場中で傾斜磁場コイルに流す電流を高速にスイッチングするために,騒音を発生する.本研究では,騒音とともに発生するMRI装置の固有振動を振動源として活用することで,外部加振システムが不要なMRE測定法を確立することを目的とする. 平成23年度は,これまでに研究・開発してきた振動検出用傾斜磁場を含むMREパルスシーケンスに,MRIガントリに固有振動を発生させるための振動発生用傾斜磁場を追加したパルスシーケンスを開発した.振動発生用傾斜磁場は,周波数・強度・方向・繰り返し回数を任意に変更可能とした.また,作成したパルスシーケンスの振動発生用傾斜磁場のパラメータを変えることにより,MRIガントリの各位置における固有振動の周波数・振幅・方向をレーザ変位計を利用して測定することにより,MRE測定に最適な撮像パラメータの組み合わせを調べた.MRE測定に最適な撮像パラメータの組み合わせを利用して,弾性率が既知なゲルの弾性波画像を得た.収集した弾性波画像に対して,応募者らがこれまでに研究・開発してきた画像解析手法に高調波成分削減フィルタなど適当な前処理を加えた画像解析手法を開発し,適用した.MRE測定で得られた弾性率とレオメータで測定した弾性率(真値)を比較することで,提案手法の定量性を評価した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
これまでの研究実績に基づき研究を進めたことで,当初25年度に実施予定であったヒトを対象としたin-vivo実験を実施できた.
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今後の研究の推進方策 |
平成23年度に得られた結果を基にして,以下の研究開発を実施する.MRIガントリの固有振動による振幅だけでは腹部深部領域で弾性波の振幅が十分に得られない可能性が高いため,MRIガントリの固有振動に共鳴することで振動を増幅する装置を非磁性材料を用いて作製する.ゲルよりも高い粘性をもつ生体組織を対象としたin-vitroやin-vivo実験を実施することで,振動増幅器の有効性を確認する.既に開発済みの外部加振装置を用いて得た弾性波画像と比較することにより,ガントリ振動や振動増幅器を利用したシステムの特質を調べる.振動増幅器の位相制御などの微調整ができるようにパルスシーケンスを改良する.
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次年度の研究費の使用計画 |
固有振動を利用した振動増幅器を開発するために,非磁性材料を購入する.研究を進めるための研究補助に対する謝金を支出する.また,得られた研究成果を学会で発表するための旅費と学会登録費を使用する.
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