研究概要 |
MRI (magnetic resonance imaging) により組織弾性情報を定量的かつ非侵襲的に得られるMRエラストグラフィ (MR elastography, MRE) は,新しい画像診断法として注目されている.しかし,MRE撮像にはMRIと同期して対象内に弾性波を発生させる外部加振システムを別途用意する必要があり,その取扱いが煩雑で,撮像部位によっては適用が困難であることが普及の障壁となっている.一方,MRIは強い静磁場中で傾斜磁場コイルに流す電流を高速にスイッチングするために,騒音を発生する.本研究では,騒音とともに発生するMRI装置の固有振動を振動源として活用することで,外部加振システムが不要なMRE測定法を確立することを目的とした. 平成25年度は,昨年度までに研究開発した振動検出用傾斜磁場を含むMREパルスシーケンスにMRIガントリに固有振動を発生させるための振動発生用傾斜磁場を追加したパルスシーケンスを異なるメーカのMRI装置においても実装した.メーカが異なるMRI装置では,固有振動を効率的に発生するために利用する周波数や傾斜磁場の方向は異なるものの,最適パラメータを用いることで外部加振システム無しでも弾性波画像が撮像可能であることを確認した.また,固有振動数に合わせて設計した振動増幅台を利用することで弾性波画像の振幅向上が可能であり,外部可振装置を用いるのと同様の弾性率分布画像が得ることも確認した.
|