研究課題/領域番号 |
23500553
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
福岡 大輔 岐阜大学, 教育学部, 准教授 (60321436)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2016-03-31
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キーワード | 医療福祉 / 診断システム / 超音波検査 / コンピュータ支援システム |
研究概要 |
本研究テーマにおいては,医療用の超音波診断装置における撮影および診断の客観性の向上を図るため,広範囲な領域が撮影できる機械的プローブ走査機構を備えた「超音波ボリュームスキャナ」の開発を目的とし.その撮影対象として下肢を対象とする.本研究テーマにおける平成23年度の研究成果は主に以下の2つである.(1) ボリュームスキャナ開発のための基礎的研究 ボリュームスキャナ開発のための,機能モデルとして直動型スキャナシステムを開発した.直動型スキャナはメカニカルな駆動機構を有し,60mmx150mmの範囲の自動撮像を可能とした.また,撮像されたスライス画像からスキャン領域範囲の三次元のボリューム画像の生成を行った.(2)ロコモティブシンドロームの定量評価のための腓腹筋の羽状角の自動計測ソフトウェアの開発 本研究テーマでは下肢領域における自動撮像とそのコンピュータ画像解析を目的とするが,本年度はその応用と有用性を検証するため,ロコモティブシンドロームの定量評価のための腓腹筋の羽状角の自動計測ソフトウェアの開発を行った.開発したソフトウェアはBモード超音波画像を対象に,画像のテクスチャ解析に基づき,腓腹筋の筋繊維の方向と腱膜の方向を検出し羽状角を自動計測する.本システムの解析結果は熟練者の計測と比較し良好な相関が得られ,開発したソフトウェアの有用性が確認された. 以上の成果によって,本研究テーマに関する研究を進めるための基礎的な準備ができたと考える.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画のとおり平成23年度においては,スキャナの基本設計と各駆動部の製作を行った.機能モデルとして直動型スキャナを開発し,各部駆動機構の動作検証を行った.また,スキャナの応用対象としてのロコモティブシンドローム定量解析のためのソフトウェアを開発し基礎的研究を終えた. これまでの成果をもとに次年度以降,下肢の広範囲(可動範囲40cm程度)を撮影し1つのボリュームデータとして再構成可能なスキャナの製作と,その解析ソフトウェアの開発に向けた改良をおこなう計画であるが,そのための十分な基礎データが得られている. 本研究課題の当初の実施計画に従い進展しており,研究はおおむね順調に進展している.
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今後の研究の推進方策 |
当初の研究実施計画に従いボリュームスキャナの開発を継続する.空間分解能の向上と撮像時間の短縮,撮像可能範囲の拡大を図る計画であり,平成24年度中の試作モデルの開発をめざす. また,ボリュームスキャナの医学的な応用範囲については,当初予定していた下肢静脈のトレース(追跡撮影)のほかに,近年注目されているロコモティブシンドローム(運動器症候群)の定量評価を加え,より多くの研究成果の獲得をめざす.平成24年度においてはこれまでの研究成果をもとに,スキャナの試作モデルを構築しデータを収集する.3次元位置センサーを用いた駆動精度の解析と,試作スキャナにより得られる画像データを解析し,スキャン精度とモーションブラー(ぼけ)が取得画像へ及ぼす影響を解析し駆動機構の改良を行う.平成25年度以降においては,リアルタイム画像処理により静脈を自動判定するソフトウェアを開発し,静脈を自動追跡(トラッキング)し自動撮影する制御機構を開発する.また,研究成果をまとめ国内外の学会において成果発表を行なう計画である.
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次年度の研究費の使用計画 |
平成23年度において,情報収集のために当初計画していた旅費支出が抑えられた. 次年度以降に研究成果の国際学会への発表のための経費として使用を計画している.また,開発目的とするシステムの試作モデルの製作に向けて,高速な三次元再構成を行うための計算機導入のための研究経費として使用する計画である.
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