研究概要 |
医療用超音波診断装置における撮影および診断の客観性の向上を図るため,広範囲な領域を撮影できる超音波ボリュームスキャナの開発と,撮影後の医用画像を解析するコンピュータ支援システムの開発が望まれている.本年度の研究成果として,ボリュームスキャナのハードウェア開発と,画像解析を行うソフトウェアであるコンピュータ支援システムの2つが挙げられる. 下肢の超音波検査を目的として,術中探触子(幅50mm)を,直動機構により200mm自動走査し,撮影するボリュームスキャナを開発し動作検証を行った.音響波の透過性を良好にするため,被検体とプローブ間の音響結合としてエコーゼリーを用い,探触子には緩衝機構を設けた. 画像解析を行うソフトウェアとして,下肢の筋量の定量評価のためのソフトウェアを開発し,撮影される超音波画像から画像計測される腓腹筋量と筋力計を用いた筋力測定の実測値との検討を行った.同システムでは,計測される羽状角と筋力の相関においてR=0.69,筋繊維の最大長と筋力の相関においてR=0.67,筋領域面積と筋力の相関においてR=0.75,筋幅と筋力の相関においてR=0.78という結果が得られた. オペレータ依存な超音波検査の客観性を向上させることは非常に重要であるが,メカニカルな探触子走査とコンピュータによる画像解析により,より客観的な撮影と診断が可能となることが示された.
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