研究課題/領域番号 |
23500555
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
鶴岡 信治 三重大学, 地域イノベーション学研究科, 教授 (30126982)
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研究分担者 |
高瀬 治彦 三重大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10283516)
川中 普晴 三重大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (30437115)
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キーワード | 医用画像処理 / 輪郭追跡 / OCT画像 |
研究概要 |
眼科用光干渉断層(OCT)画像を対象にした3次元境界面追跡法による推定システムに関する研究について、本年度は以下の研究実績があった。 第一の目標である網膜の上面と下面を自動追跡し、網膜の厚さを自動計測する研究にについては、解剖学的知識と統計的な判断基準を利用した網膜組織の境界線を、3次元の局所領域を使用して抽出する知的画像理解モデル(単方向3次元アクティブグリッド法)を独自に考案し、システム開発を行った。そして,実際に診療に使用しているOCT画像に対して評価実験を行い、網膜層の組織分類率(専門医と同じ判断を正解)が健常例の網膜厚で68%から95%、疾患例で55%から72%、全体で62%から85%に向上し、目標として95%を達成するまであと10%にすることができた。 第二の目標である網膜疾患に対する治療の効果を理解しやすく表示するシステムについての研究は、当初、治療前と治療後に撮影したOCT画像を対象として行う予定であったが、現時点では、治療前と治療後のOCT画像を対にして撮影した画像は少なく、その中でも研究に使用できる画質のものがほとんどなかった。そのため、境界面が精度よく追跡できないので、正常なOCT画像を下に、3次元の疾患モデルを作成し、人工的に疾患OCT画像を生成することにした。生成した疾患OCT画像に対して、差分処理を行い、疾患部を三次元表示するグラフィカル・ユーザ・インタフェースを作成し,今後評価実験を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
一年目はやや遅れていたが、医工連携の基盤ができ、医師との情報交換が行い易くなり、OCT画像に対する医師の望んでいる画像処理方法が理解できるようになり、画像処理方法の新しいアイディアが出始め、一年目の遅れを回復し、順調な状況となった。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は、最終年度なので、平成24年度に研究してきた内容を外部の方に発表し、完成度を向上させる。また類似症例の検索が出来ていないので、今後、蓄積してきたOCT画像から類似症例を検索するシステムを整備する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度は、OCT画像の処理方法の方針が決まらず、システム開発が進展しなかったので、未使用額が増加した。しかし、平成24年度の後半に、OCT画像に対する画像処理方法の研究方針が固まってきたので、研究成果を出せる見込みが付いた。それで、本研究を推進する研究グループに参加する大学院生と卒業研究生の人数をより多くし、研究を加速する。そのため、予算については、学生に種々の研究補助作業をしてもらうので、人件費が増加し、国内の関係学会や国際会議での発表回数が多くなり、旅費が増加すると予想される。
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